石油元売り大手の出光興産と昭和シェル石油は10月16日、経営統合に伴う株式交換契約を締結したと発表した。来年4月には年間売上高が5兆8000億円、全国6600カ所にガソリンスタンドを抱える巨大企業が誕生する。これで石油元売り業界は先に統合したJXTGホールディングスとの2大グループにほぼ集約することになる。一方で家計に直結する懸念材料が浮上する。ガソリン高だ。

 日本のガソリン市場では、かつて元売り各社が市場に放出した余剰ガソリンが、系列に属さない、いわゆる「無印スタンド」に流れ、スタンド同士の値下げ競争を激しくしていた。

統合新会社の社長に就任する出光の木藤俊一社長(右)は「新たな価値創造に挑戦する日本発のエネルギー共創企業にしていく」と抱負を語った。

 この構図を変えたのが、17年4月の旧JXホールディングスと旧東燃ゼネラル石油の経営統合とされる。旧東燃ゼネラルの余剰ガソリンをJXが受け入れるようになり、市場に流出するガソリンが激減。その結果、値上げしやすい状況が生まれた。

JXTGホールディングスの誕生で乱売合戦は収まったとされるが……

 この状況が今回の出光・昭シェル統合で再現される可能性があるという。調査会社サークルクロスコーポレーションの塩田英俊シニアアナリストは「さらなるガソリンおよび灯油の値上がりが考えられる」と指摘する。

 確かに昭シェルが抱える余剰ガソリンを出光が引き取るようになれば、不要な値下げ競争に走らずに済む。

 気がかりなのが足元で進む原油高だ。原油高は元売り各社にとっては調達コストを膨らませる要因になるだけ。卸値を上げると、消費者が買い控える傾向が強まる。今でも「満タンで給油する顧客が減っている」(関西のスタンド経営者)との声もある。

 もっとも、業界再編にしろ、原油高にしろ、消費者にとってはガソリン価格の上昇圧力が強まる構図に変わりはないともいえる。結局は家計への影響は避けられないのかもしれない。