デサント株の買い増しが明らかになった伊藤忠商事。今後、どのような展開が予想されるのか。

 ひとまずカギを握りそうなのが33.3%という数字だ。伊藤忠の保有比率が3分の1を超える場合はTOB(株式公開買い付け)による買い付けが求められるが、ひとまずそこまでは今のような買い増しが続くとみられる。仮に3分の1を超えて保有比率が高まると、伊藤忠には重要事項を拒める拒否権が発生する。

 伊藤忠が一気にTOBをかけてしゃにむにデサント株を買い集めに行く、という選択肢も理論上はないわけではない。しかしこうした敵対的買収は日本ではなじまないため、選択肢としてはあるものの実際に踏み切れる経営者はそう多くない。

 となると買い増しは3分の1をメドに一度止まる可能性がある。

伊藤忠の岡藤正広会長は来年の定時株主総会でどんな手を打つか(写真:ロイター/アフロ)

 キャスティングボートを握りそうな気になる存在もいる。デサント商品を中国で販売する中国スポーツ用品大手の「安踏(ANTA)」がそれだ。ANTAの経営者の資産管理会社は昨秋、デサント株を7%弱保有したことがわかっている。中国に強い伊藤忠は既にANTAと接触しており、両者が水面下で手を結んでいるとの見方もある。仮にそうだとすると、伊藤忠が3分の1で買い増しを止めても、両者で4割近い株を抑えることになる。

 この4割という数字はなかなか微妙な数字だ。例えば来年のデサントの定時株主総会で石本雅敏社長ら現経営陣の選任に伊藤忠が反対票を投じたらどうなるか。行使された議決権のうち反対票が過半になれば現経営陣をクビにできることになる。

 仮に議決権の行使比率が80%だった場合、40%がボーダーラインになる。もう少し反対勢力を募れば、行使比率がもっと高くても否決できる可能性が出てくる。

 伊藤忠の岡藤正広会長はデサントの石本社長に対して、すでに来年の定時株主総会ではこのままの状況だと再選に反対すると忠告している。仮に伊藤忠が推す取締役が多数を占めた場合、デサントは一転して買収受け入れを決める、というシナリオもあり得る。

 両者の確執はどこへ向かうのか。まだまだ目が離せない。