伊藤忠商事がデサント株を一段と買い増ししたことが、日経ビジネスの取材で15日、明らかになった。保有比率はこれまでの27.7%から一気に3割強になったもようだ。伊藤忠は水面下でデサントに事実上の買収提案をしたが拒否され、デサントは対抗策としてワコールとの包括的提携を8月に発表した経緯がある。買収拒否の姿勢を見せたデサントに対し伊藤忠の出方が注目されていたが、どうやらデサント買収をあきらめていないようだ。

デサントは伊藤忠への対抗策としてワコールとの提携を8月に発表していた(写真:共同通信)

 伊藤忠は8月27日に出した大量保有報告書で、デサント株を26.01%から27.7%まで買い増ししたと明らかにしていた。だがその後、8月30日にデサントがワコールとの包括的提携を発表、伊藤忠の出方が注目されていた。

 伊藤忠はその後もデサント株の買い増しを画策、デサント株を持つ取引先などに株の売却を持ちかけていた。デサントの取引先で株の売却に応じたところは少ない模様だが、伊藤忠は株式市場での買い付けのほか、機関投資家などからデサント株を買い集め、一気に3%近く保有比率を上げたようだ。近く大量保有報告書が出るとみられる。

 伊藤忠のデサント株保有比率は今春まで長らく25%だった。しかし今年に入り保有比率の引き上げを提案、デサント側から芳しい回答が得られないとみると株を買い増し始めた。

伊藤忠側は「伊藤忠の支援あってこそのデサント」と主張する(写真:ロイター/共同)

 伊藤忠の言い分は「伊藤忠の支援があってこそ今のデサントのビジネスがあるのに、持ち分法適用会社でグリップが効かない。しかしデサントが仮におかしくなったら伊藤忠が責任を取る羽目になるのは納得がいかない」というものだ。

 デサントが今回の伊藤忠の買い増しに反発するのは必至だ。デサントの創業家出身の石本雅敏社長には、最近の業績は一定程度、デサント自らの力で築き上げてきたという自負があるからだ。伊藤忠の庇護下でなくてもやっていける、そうした自信をつけつつある局面での買収提案は飲めないものだった。過去に両者の間に感情的な確執、ビジネス面での小さないざこざがあったことも、余計に話をややこしくした。