10月13日夕方に急遽開かれた記者会見には多数の報道陣が押しかけた
10月13日夕方に急遽開かれた記者会見には多数の報道陣が押しかけた

 出光はRDSからの株式取得については予定通り進めると改めて発表した。ただ具体的な方策については「RDSと協議しながら、きちっとした取得ができる方法を検討している。いまここで話すのは差し控えたい」(月岡社長)と明らかにしなかった。両経営陣には苦境を覆すウルトラCの腹案があるのか。はっきりしないが「足元ではRDSに現状について説明している。どう乗り越えていくかは今後話し合う」と昭シェルの亀岡社長は話しており、月岡社長が言う「きちっとした取得」ができるか否かは不透明だ。

後手に回った大株主対策

 「優秀な(創業家側)代理人の進め方に躊躇してしまった」。月岡社長は会見でこう話す。ここでいう代理人とは、創業家の顧問弁護士で資産管理会社の代表も務める浜田卓二郎氏を指している。今年6月に開かれた定時株主総会の場で、統合反対を主張した張本人だ。昭介名誉会長とは家族ぐるみの付き合いで、表だって争うのをためらっていた名誉会長の背中を押したのも浜田氏だという。

 浜田氏を中心とする創業者側の実働部隊は今年7月、出光興産の公益財団法人で昭介名誉会長が理事長を務める「出光美術館」の定款変更に動いた。出光美術館は出光株を保有しているが、定款にはこれまで株主としての権利を制限する条項が含まれていた。これを削除することで議決権行使ができるようにして、創業家側の足場を固めたわけだ。美術館が保有する出光の株式数は議決権ベースで5%であり、これを合わせてはじめて創業家側の株式保有比率は3分の1以上になる。

 逆に言えば、出光美術館が議決権を行使することができなければ、創業家側は統合を阻止することはできないはずだったが、経営陣側は定款変更の動きを止められなかった。さらに8月に入ると上述の通り創業家によって昭シェル株を取得され、経営陣側はますます追いつめられる。結局、「3カ月あまりの間、あらゆる手を尽くしてきたが面談の機会を作れない」(月岡社長)事態を招いた。

 月岡社長は「(創業家は)経営とは一線を画していると理解していた。振り返ってみれば忸怩たる思いもある」と語る。今回の統合にしても「君臨せずとも統治せず」の姿勢を貫くだろうという経営陣の油断があったことは否めない。辣腕の代理人弁護士にその隙を突かれ、矢継ぎ早に繰り出される反対策に翻弄された。

 これにしびれを切らしたのが出光の販売店だ。本誌10月10日号「出光、販売店の不信招く代理人」でも触れたように、出光系の販売店で組織する「全国出光会」が合併の推進および話し合いの再開を、創業家側と現経営側の双方に求めることを9月に決議した。月岡社長は「全国の販売店から心配する声と、創業家と真摯に話し合うべきと叱咤の声をいただいた。家族同様の付き合いをしている販売店の声に向き合わなければならない」と販売店の思いを会見中に何度も口にして、交渉の場に付くよう創業家側に求めた。経営陣の声は創業家には響かなかった。では販売店の声は代理人に、そして背後に構える昭介名誉会長に響くのだろうか。

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