トヨタ自動車とスズキは10月12日、業務提携に向けた交渉を開始したと発表した。環境や安全、情報技術などの分野が提携の対象となるが、同日開かれた会見では具体策はゼロ。提携までのロードマップも示されなかった。

 スズキの鈴木修会長が「変化がめまぐるしい状況の中で、『共有』しなければ生きていくことができない」と危機感をにじませたのに対し、トヨタの豊田章男社長は「エネルギーや環境問題を考えると1社でやれることは限られている。標準化のために話し合いを始めた」と話し、「仲間づくり」を強調した。両社の提携に関するスタンスの違いが見えた。

記者会見に臨むトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とスズキの鈴木修会長(写真:竹井俊晴、以下同じ)

 秋波を送ったのはスズキだった。9月上旬、鈴木修会長がトヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長と会談。「具体的にトヨタさんの協力を頂くことはできないか」と持ちかけると、豊田名誉会長は「協議だけはしてみてもいいのではないか」と応じた。会談後、豊田名誉会長は豊田章男社長に「修さんと会ったよ」とだけ伝えた。

 その1カ月後、10月上旬に豊田社長と鈴木会長が面談。豊田社長が協力に関心を示した。遠州地方に本社を置き、織機にルーツを持つ2社が、提携に向けたテーブルに着いた瞬間だった。

 10月12日の記者会見は、あくまで「協議開始」を示したもの。環境、安全、情報技術などが提携の対象となるが、会見では「何も決まっていない」(豊田社長)、「あらゆる分野というご理解を頂ければ」(鈴木会長)と、現状では提携の具体的な内容は白紙だ。

 記者会見のそれぞれの発言からにじみ出ていたのは、両社のスタンスの違いだった。