10月9日、2016年米大統領選挙の第2回討論会がミズーリ州で開かれた。わいせつ発言問題で窮地に立たされたドナルド・トランプ氏だが、からくも“KO負け”は免れた。(写真:UPI/アフロ)

 米大統領候補が直接対決でぶつかり合う討論会の第2ラウンド。直前に流出したわいせつ発言ビデオの影響で共和党のドナルド・トランプ候補のかなりの劣勢が見込まれたが、これまでの選挙戦の趨勢を変えるほどの決定打は出なかったという印象だ。

 10月9日に開催された今回の討論会は、直前にトランプ氏による11年前のわいせつ発言ビデオが流出するというオクトーバー・サプライズがあった。その中身は各所で公開されているが、3週間後に大統領選を控える候補者の発言と考えるとなかなかに低劣である。

 簡単にいえば、収録前のバスの中の“雑談”で、「ある女優を口説いて抱こうとしたが結婚しているとして断られた」「(共演女性があまりに美人だったという文脈で)あんな美人を見れば無条件で口説き、速攻でキスをして、パンツの中に手を突っ込む」などという発言を録音されていたという話だ。

共和党からも集中砲火

 トランプ氏のパーソナリティを考えるとさもありなんという感じだが、番組待機中の男同士の会話とはいえ、このタイミングでお下劣発言が飛び出したのは大打撃である。トランプ氏は即座に謝罪、「ロッカールームでの軽口」と火消しに動いたが、弁明もむなしく各所から集中砲火を浴びた。

「うんざりしている」(ポール・ライアン下院議長=共和党)
「性暴力」(ジョー・バイデン副大統領=民主党)
「条件付き支持も不可能」(ジョン・マケイン上院議員=2008年の共和党大統領候補)
「もう十分」(コリンドーザ・ライス元国務長官=共和党)
「彼の発言を許せないし、発言を擁護することもできない」(マイク・ペンス副大統領候補=共和党)
「私への侮辱」(メラニア・トランプ=妻、※その後に「彼の謝罪を受け入れることを望む」という発言が続く)

 事態を重く見た共和党のライアン下院議長はトランプ氏のための選挙運動をやめ、議会の過半数維持に全力を挙げるという考えを表明した。事実上の三行半である。共和党としても、上下院の改選で苦戦している候補者に資金を振り分けることを決めた、と報じられている。