2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げに関しては、自公は増税分の使途を変更し、教育無償化などに充てるとして予定通りの実施を主張。野党は凍結・中止で足並みをそろえている。

 一方、今回の衆院選の争点に明確に位置づけられた憲法改正については、改憲に前向きな党の間でも取り組み方針の違いが表面化している。自民は自衛隊の明記、教育無償化など4つを改憲項目に挙げた。

改憲・消費増税で違い

 憲法9条への自衛隊の存在明記の方針を巡り、公明の山口那津男代表は8日の日本記者クラブ主催の党首討論会で「国民の成熟した理解のもとで改憲発議や国民投票を迎えるべきで、今はそこまで至っていない」と語り、慎重な構えを崩していない。

 希望は「憲法9条を含め憲法改正論議を進める」と公約に明記しているが、小池百合子代表は文民統制の観点などから自衛隊の明記については「そのまま進めるのは大いに疑問がある」などと異論を唱えた。希望は地方分権や情報公開を進めるための改憲を支持する方針を示している。

 具体的な改正項目についての方向性は定まっていない。それでも希望が改憲に前向きなため、選挙後も改憲勢力が衆院で発議に必要な3分の2を占める可能性が大きくなっている。

 このため選挙の結果、自民の減り幅が安倍首相の思惑通りの範囲にとどまれば、求心力を回復した安倍首相が希望や維新との連携を模索しつつ改憲論議のアクセルを踏み込む見通しだ。

 こうした点が鮮明になってきた一方で、よく分からないことが多いまま選挙戦を迎えたという有権者は少なくないだろう。特に、政権の獲得を目指すとしている希望の方向性や代表である小池氏の戦略の曖昧さが「分かりづらさ」を助長したことは否めない。

 まず、かつて安保関連法に反対した民進出身者が突如として同法の基本的な容認に転じ、希望公認で立候補する点だ。ワイドショーなどでも再三指摘されてきた問題だが、小池氏は「北朝鮮など国際情勢が厳しい中でリアルな政治を進めることで一致している」などと反論している。

 同様に、「社会保障と税の一体改革」に賛同したはずの民進出身者が消費増税凍結を掲げて選挙戦に臨んでいることへの疑問の声も出ている。

次ページ すっきりしない「首相候補不在」