セブン&アイ・ホールディングスは10月6日、傘下のそごう・西武の3店舗を、阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)に譲渡すると発表した。この日の記者会見では、セブン&アイの井阪隆一社長が、鈴木敏文・前会長ら旧体制と決別するという決意をのぞかせる場面もあった。そごう・西武は、2006年に鈴木氏の肝いりで買収した事業だが、業績低迷が深刻になっている。井阪氏は新たな中期計画を公表するプレゼンテーションの冒頭で、創業者である伊藤雅俊・名誉会長に、異例とも言える「賛辞」を述べた。カリスマ経営者の鈴木氏が去った後、経営の新たな軸を創業家に求める構図がにじんでいた。

 今年5月、当時セブン&アイ会長だった鈴木敏文氏の突然の退任に伴って、井阪氏はセブン-イレブン・ジャパン社長から持ち株会社、セブン&アイ社長に昇格した。「就任から100日でまとめる」としていたグループの構造改革プランを6日、発表した。

「セブン&アイが7月中旬、H2Oにラブコールを送った」と明かす井阪社長(写真:尾関裕士)

 発表の目玉となったのが、百貨店事業のリストラだった。「そごう神戸店」(神戸市)と、「そごう西神店」(同)、「西武高槻店」(大阪府高槻市)をH2Oに承継する。セブン&アイによると、売却額など、店舗承継の詳細は今後両社で協議するとしている。

 合わせて、H2Oと資本業務提携を結ぶ。セブン&アイは約57億円を投じてH2O株の3%を取得。H2Oも同額を投じてセブン&アイ株を取得する方針だ。業務提携は、阪急阪神百貨店の買い物ポイントを、関西のセブンイレブンで使えるようにするなどの内容だ。「セブン&アイが7月中旬、H2Oにラブコールを送った。最近もH2Oの店舗に客として足を運んだが、商品の品揃えや店舗運営が素晴らしい」。井阪社長はそう説明した。

 鈴木氏と井阪氏はかつて師弟関係にあった。関係が急変したのは今春。鈴木氏が井阪氏に対し、セブン-イレブン・ジャパン社長からの退任を要求。「理由がわからない」として井阪氏は反発するが、鈴木氏は人事案を4月7日の取締役会に諮った。ところが、この人事案が通らなかったことで、鈴木氏が逆に辞任を決心する。鈴木氏は名誉顧問に退いた。

 井阪氏は入社から35年間コンビニ畑を歩んできた。突然の持ち株会社トップの就任で、グループ経営の手腕を不安視する声もあるなか「社内外の様々な声に耳を傾け、変えてはいけないことは守っていかないといけないし、変えなくてはならないことはどう変えていくのか、整理を進めてきた」(井阪社長)。その結果として、まず手をつけたのが百貨店の一段のリストラだった。

 セブン&アイがそごう・西武を買収したのは2006年。セブン&アイはすでに店舗閉鎖などリストラを進行中で、9月末に西武旭川店(北海道旭川市)など2店を閉鎖。来春は西武八尾店(大阪府八尾市)などさらに2店を閉める計画を公表済みだ。9月30日にも買収時に資産として計上した「のれん代」のうち334億円の減損処理を発表したばかり。それでも井阪社長は、もう一段、アクセルを踏み込んだ格好だ。