パソコン世界シェア首位の中国レノボ・グループが、富士通のパソコン事業を傘下におさめる方針を固めた。「パソコンの次の世界」を探し続けてきたレノボ。再び資金を投じる背景の一つには、新規事業の行き詰まりがある。

 パソコン世界シェア首位の中国レノボ・グループが、富士通のパソコン事業を傘下におさめる方針を固めた。富士通のパソコン子会社と合弁企業を設け、レノボが過半を出資する方向で、現在最終調整を進めているという。

イベントで壇上に立つレノボ・グループのヤン・イェンチン会長兼CEO

 レノボは2011年にNECと日本市場のパソコン事業を統合し、合弁会社を設立した。しかし、当時と市場環境は大きく変わっている。2011年に3億6536万台だったパソコン世界販売台数は、2015年に2億8870万台にまで縮小。2008年以来初めて3億台を下回り、4年連続で減少し続けている(米ガートナー調べ)。

 パソコンの存在自体がなくなるとは考えられない。だが、世界の電機メーカーはモバイルやIoT(モノのインターネット化)に経営資源を集中させている。世界首位のパソコンメーカーであるレノボが、再びパソコン事業に力を入れるのはなぜか。

1年で変わった経営環境

 「個人向けのパソコン市場が飽和状態にあることは事実。パソコン事業に依存し過ぎず、次の成長する世界を探さないといけない」

 昨年、日経ビジネスのインタビューにて、レノボ・グループのヤン・イェンチン会長兼CEO(最高経営責任者)はこのように発言している。2015年のパソコン世界シェア2割を握る最大手の同社だが、成熟市場であるパソコン事業の売上高が全体の約7割を占めていることへの危機感を強く滲ませていた。

 今回の動きは、1年前のヤン氏のこうした発言と矛盾しているように感じる。富士通のパソコン事業は収益性が悪化しており、2016年3月期も赤字だったと見られる。レノボ側は部品の調達や製造コストの削減で収益性の引き上げを狙っているとされるが、「結局レノボはパソコンに依存し続ける」という印象が拭えない。