ダイハツ工業の三井正則会長は10月5日、日経ビジネスのインタビューに応じ、トヨタ自動車、マツダ、デンソーによるEV(電気自動車)開発のための新会社への参加を表明した。欧州や中国で急速なEV推進策が打ち出される中、共同出資によりリスクを分散しつつ、開発を加速する。

新会社は「EV C.A. Spirit」。トヨタが90%、マツダとデンソーがそれぞれ5%を出資して設立。各社から集まった技術者が設計手法やバッテリーなどの基幹技術を研究する。トヨタと資本提携するスバルや、子会社のダイハツ、日野自動車などにも参加を呼びかけていた。
走行距離は数十キロで十分
ダイハツの三井会長はインタビューで「新会社での検討に近く参画させていただき、ダイハツらしい商品をタイムリーに生み出せるようスピードアップしたい」と話した。新会社への資本参加を申し出ることも表明した。
参加の理由として「ダイハツの守備範囲である軽自動車や小型車の顧客にも、先進技術を求める声はある」と説明する。価格を重視する軽・小型車は価格が高くなる電動化のハードルは高いが、「地方では通院や畑仕事のために車を所有し、毎日10~20キロしか走らない軽の顧客も多い。1回の充電で数百キロ走るようなEVではなく、走行距離は数十キロでも安くて静かなEVなら需要はある」とみて、「生活の足」として使えるような実用的なEV開発を急ぐ考えを示した。
新会社への参加のメリットで三井会長が強調したのが、車格に関係なく流用できる開発手法を共有できることだ。「最終製品は各社全く異なるものになると思うが、マツダの(試作車を作る前にコンピューター上で性能を確認する)モデルベース開発を勉強させていただきたい」と述べ、開発のスピードアップを主な目的としてあげた。
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