再雇用後も仕事探し

 山田孝一氏(仮名、64)は、再雇用されてからも「次の職場」探しをしていた。年齢が高くなればなるほど求人は減り、仕事もなくなるからだ。希望したのは待遇面が嘱託時代と同水準で、社会保険にも加入し、厚生年金を払い続けられるところ。年金を払い続けられれば、本当にリタイアした時に得られる年金額も増える。

 見つけたのはギョーザ製造工場の仕事。今は週5日、朝5時半から午後2時半まで働く。職場には70歳過ぎても働き続ける人もいるという。ギョーザ工場はそれまでのキャリアとは全く違う仕事ではあるが、山田氏は「すべてが新鮮」と満足そうだ。

シニアが働き続ける理由は様々(写真:Yagi Studio/Getty Images)
シニアが働き続ける理由は様々(写真:Yagi Studio/Getty Images)

 「無定年」時代を生き抜く上では健康であり続けることも肝心だ。年齢を重ねるほど、医療費は膨らむもの。医療費がいくらかかるかで、家計の収支は黒字にも赤字にもなる。いつ来るともしれない「年金激減」に備える上でも、健康寿命を延ばし、医療費をできるだけ抑えることが必要になる。

 そんな生き方を体現するのが、食事の宅配サービス「ワタミの宅食」の配達スタッフとして働く田中茂雄氏(84)だ。平日の朝9時に自宅から自転車で10分の営業所に出勤。その後、配達用の電動自転車にまたがり、3時間ほどかけて、近隣の25軒ほどの契約者の家を回って弁当を届ける。

 毎日、体を動かしていることが健康の秘訣。田中氏は夫婦ともども医療費がかかることがほとんどないという。しかも、地域の人から必要とされている実感を得られることも大きい。弁当の配達先は田中氏と同年代の高齢者が大半を占める。その多くが単身世帯。「昨日から誰とも話していないんだよ」。一人暮らしの利用者から、そんな声を聞くこともしばしばだ。仕事を通じて地域を支えている。その誇りが、田中氏が働き続ける原動力になっている。

 現役世代の未来図ともいえる3人の働き方。だが、本当に働き続けなければならない「無定年」時代は来るのか。その足音は確かに迫っていることは、この夏示された、ある試算が裏付ける。

詳細は2018年10月8日号の「日経ビジネス」、「日経ビジネスDigital」で公開します。