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 10月4日から開催した「CEATEC(シーテック)JAPAN2016」は出展社・団体数が前年比22%増の648社・団体と4年ぶりのプラスとなった。大手を中心に苦境が続く日本の電機業界が、再び世界に存在感を高められるかに注目が集まる。経済産業省、日本政策投資銀行などを経て電子情報技術産業協会(JEITA)専務理事に就任した長尾尚人氏に、電機業界の課題や政府ファンドのあり方などについて聞いた。

電機業界全体についてうかがいます。シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収され、東芝が白物家電事業を中国の美的集団に譲渡しました。日本の電機メーカー、特に大手を中心にその競争力低下が顕著です。日本の電機業界の課題をどう見ていますか。

長尾:日本は企業経営が全く現代化できていないと思います。高値で売れるものは早めに売ってしまおうという考え方がなく、じり貧になった状態で買い叩かれてしまうケースが増えています。

 会社経営の財務においては、収益をどこで生み出すのか、キャッシュフローをどう回していくか、そしてその中でどう投資回収するか。この3つを考えなくてはなりません。キャッシュフローをたくさん持ちながら投資に回す会社もあるし、ニッチでも利幅が大きい世界に特化していく会社もある。

JEITAの長尾尚人専務理事。経済産業省や日本政策投資銀行など経て、2014年から現職。

長尾:米ゼネラル・エレクトリック(GE)との比較が分かりやすいですね。彼らは資産規模で約4兆円にものぼる金融部門の一部を高値の段階で売りました。現時点では、キャッシュフローを猛烈に生んでいた部門にもかかわらずです。その金融部門を売っぱらって得たお金で、ハード同士を繋げるソフトウエアの技術に次々と投資しています。IoTの時代では、ある程度収益がありキャッシュフローを生む金融部門より、ソフト事業の方が会社の成長に必要だと早期に判断したからです。

 日本は過去の栄光にすがりついてしまう傾向が強いので、どうしてもそうした思い切った判断ができない。また、世界で通用する最高財務責任者(CFO)がほとんどいないと感じます。海外から本当の企業経営ができる財務の人間をスカウトし、日本の企業経営を現代化させないと、どんどん遅れを取っていくことになります。