今年から平日のみの開催に変わりました。これも、シーテックが消費者向けに最終製品を展示するだけの展示会ではないという姿勢の表れでしょうか。

長尾:そうですね。シーテックも「東京モーターショー」もこれまでは最終製品を見せる展示会でした。しかし、これからは最終製品を展示することの意味が薄れてきます。例えば自動車の場合、ライドシェアや自動走行が主流になってくるので、「こんな新車が出ます」「これだけ加速ができます」というクルマ自体の話の重要性は減ってくるのです。

 家電だって、最終製品を見たければ、例えば秋葉原のヨドバシカメラに行けばいくらでも見られます。そういう点でも、9月に独ベルリンで開催される「IFA」や米ラスベガスの「CES」などの国際家電見本市とは全く別ものになっています。

海外ベンチャーの技術を積極的に取り込む

今回、「AI(人工知能)」や「フィンテック」をテーマにした出展も多いようです。これらの分野ではまだ日本は遅れていると感じます。現在の日本の競争力と今後の発展性をどのように見ていますか。

長尾:それはもう、圧倒的に遅れていると思います。日本はハードとしての信頼性は世界でナンバーワンですが、IoT時代になれば、それはあまり大事なことではありません。IoT時代の信頼性とは、ハードの堅牢性ではなくセキュリティーの高さです。

 日本が遅れているとは言え、まだこの分野は最終形が見えていません。いつ始めてもいい話だと思います。今回これらの分野で優良な、インドやイスラエルの海外ベンチャー30社を招待しています。これらの企業とのビジネスマッチングを進め、どんどん世界の動きを日本企業や政府にも取り込んでいってほしいと思っています。

 彼らにとっても日本企業や政府と組むメリットは大きいです。特にサイバーセキュリティーの分野では、日本はまだ弱いですし、2020年には東京オリンピック・パラリンピックもあります。彼らからすると、「守りがいのある市場」なんです。

今回政策面ではドイツと米国との連携を挙げています。3か国でどのような世界を創造することを目指しているのでしょうか。

長尾:製造業が強い日本とドイツは、比較的考え方が近いです。IoT時代の発想の起点は、「ハードをどのようにつなげるのか」です。逆に、米国のアプローチはソフトウエアから。どのようなサービスを提供できるか、というところから始まります。

 米国とドイツが組めば日本のモノづくりは終わってしまうでしょうし、日本と米国だけが連携してはドイツが孤立しかねない。日本が仲介役となって、日本とドイツ、米国の3か国でIoT時代の標準を作っていくのが理想だと思っています。そして、3か国が連携して国際的なルールを先に作った状態で、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)などを巻き込んでいきたいと考えています。

そうしたIoTの標準ルールができるのは、大体いつ頃になるのでしょうか。

長尾:難しい質問ですね。まだ動き出した状態なので明確に何年とは言えませんが、2020年の東京五輪に向けて議論が進展することは間違いありません。そういう意味で、東京五輪は日本の技術を見せつける場ではなく、世界中のサービスを集結し披露する場になるはずです。

(後編に続く)