「お取引先様」扱いに憤慨

 8月ごろ、出光の販売店に浜田氏からハガキが届いた。内容は「『出光創業家』Facebookアカウント開設」というタイトルで、公開している合併反対理由などの文書が箇条書きで示されていた。宛名には個人名がなく「代表取締役社長 殿」と書いてあった。ある販売店オーナーは語る。「名前も調べていないし、ハガキが届いていない販売店もあった。ずさんな印象だ」。

全国の出光販売店に送付されたハガキ。宛名には「代表取締役社長 殿」と記載されており、一部の販売店オーナーの不評を買ったようだ(赤線は編集部が追加)

 さらに追い打ちをかける出来事があった。創業家側が8月に出光の取締役に送った文書の内容だ。文書には「会社の経営にとっても社員にとっても、また多くの株主様やお取引先様に対しても多大な迷惑をかけることになります」という部分がある。

 販売店の多くがこの「お取引先様」という部分に憤った。「大家族主義を掲げる出光にあって、販売店は取引先ではない」「昭介氏の名前を筆頭に書いてあるが、本当に昭介氏が書いたものならこうした言い回しはしない。浜田氏が書いたものだ」といった声が販売店間で行き交った。

創業家側の代理人である浜田卓二郎氏から販売店に送られた書類には販売店を「お取引先様」と書いてあった(赤線は編集部が追加)

 こうした経緯や、会見で浜田氏が出光といずれも取引のあるイランとサウジアラビアの関係性を反対理由に挙げた発言から、「出光を理解していない人物が介入している。その影響を受けた創業家側が経営権を握れば経営が立ち行かなくなる」と不信感が芽生えた。その後、全国の販売店から合併推進を求める声が相次ぎ、出光会としても現経営側に立つという立場を表明するに至った。

 ある販売店は「創業家側は対立する現経営側に説得されて話し合いに応じたという形ではメンツがつぶれる。家族の一員である販売店の説得に応じたという形で折り合ってほしい」と語る。具体的には、現役の出光社員であり、昭介氏の次男でもある正道氏による仲立ちを期待する声が高まっている。