出光興産と昭和シェル石油の合併計画に出光創業家が反対している問題で、出光興産系の販売店で組織する「全国出光会」が仲裁に乗り出した。出光会が9月26日に開いた臨時理事会で、合併の推進および話し合いの再開を創業家側と現経営側の双方に求めることを決議した。

 出光会からすると苦渋の決断だった。メンバーには「創業者の出光佐三氏と酒を酌み交わしながら議論し、出光を発展させてきた」「家に佐三氏が訪ねてきて、子どもだった私を膝の上に座らせてくれた」など、出光家への思いが強い人が多い。佐三氏の息子である昭介氏に矢を向けるような行為はしたくなかった。

出光興産の創業家と現経営側の対立経緯
時期 内容
2015年11月 出光興産と昭和シェル石油が経営統合で合意と正式発表
12月 出光創業家の出光昭介氏が統合反対を表明
2016年6月 出光の株主総会で、創業家側の代理人弁護士である浜田卓二郎氏が統合反対を表明
8月 創業家側が統合への対抗策として、昭和シェル石油株40万株を取得したことを表明
9月 出光の販売店組織「全国出光会」が賛成の立場を表明し、創業家と経営者側に話し合いの再開を要望

 実際に出光会ではこれまで創業家側と経営側の応酬を静観していたが、水面下では変化が起きていた。メンバーの中から合併推進を強く求める声が徐々に広がっていたのだ。そのきっかけを作ったのは創業家側の代理人を務める浜田卓二郎弁護士だった。

元国会議員の浜田卓二郎氏(左)は出光創業家と親しい(写真=読売新聞/アフロ)
元国会議員の浜田卓二郎氏(左)は出光創業家と親しい(写真=読売新聞/アフロ)

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