加盟店のオーナーは、コンビニ会社の社員ではない。どの加盟店もFC契約を結んでセブンイレブンの看板を掲げているが、それぞれのオーナーはあくまで独立事業主。なかにはセブンイレブン店舗が近隣のセブンイレブン店舗をライバル視するようなケースもある。

 だからこそセブンイレブンの場合、商品情報や店舗運営のヒントは加盟店同士で共有し合うのではなく、本部から派遣した指導員が各加盟店に直接伝える仕組みを採用。統率のとれた組織力を武器に最強のコンビニチェーンを築いてきた。これは「コンビニの父」とも呼ばれるカリスマ、鈴木敏文元会長(現名誉顧問)が40年かけて作り上げたシステムであり、セブンイレブンの収益力の源泉だった。指導員からの指示は、すなわち鈴木氏の指示そのものであった。

この日は加盟店オーナーや現場リーダーら約30人が集まった(10月1日、東京都千代田区)
この日は加盟店オーナーや現場リーダーら約30人が集まった(10月1日、東京都千代田区)

加盟店同士で切磋琢磨

 しかしこの仕組みが静かに転換しているのだ。偉大なカリスマと個々の加盟店がそれぞれ、関係を取り結んで、圧倒的なトップダウンで指示が下りてくるのが従来の形。これに対して、新たな経営体制の下では、加盟店同士の情報交換によるボトムアップの形式を取り入れたと言える。これまでも加盟店オーナーが顔を合わせる機会がなかったわけではない。ただ集まったとしても参加オーナーの数が多すぎ、情報伝達も本部から加盟店に向けての一方通行だった。銀座地区ディストリクトマネジャーの鬼嶋智由氏は「『本部が言うことはうちの店にはあてはまらないから』と白けてしまう加盟店オーナーもいた」と振り返る。

 「カリスマ」が去ったセブンイレブンは、加盟店同士が情報共有しながら切磋琢磨し、チェーン全体のレベル底上げを狙う方向へかじを切る。今後、エリア・ミーティングの開催を全国規模で推し進める方針だ。

 コンビニ業界を見渡せば、9月1日にはファミリーマートがサークルKサンクスと経営統合。その2週間後には三菱商事がローソンの子会社化を発表した。

 とはいっても、1店舗あたりの1日の平均売上高(日販)を比べると、ファミマもローソンも首位セブンイレブンとは10万円以上の差が開いている。既存店売上高についても、セブンイレブンは2016年8月まで49カ月連続で前年を上回っている。競合の動きですぐに揺らぐほど、セブンイレブンは「やわ」ではないのだ。それでもセブンイレブンは「常勝」を続けなければならないプレッシャーをかつてなく受けている。セブン&アイの「身内の事情」があるからだ。

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