2023年に民間人初の月周回旅行へ――。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」やスマホで体型を測定する「ゾゾスーツ」などを手掛けるZOZOの前澤友作社長が、米スペースXのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)とともに発表したプロジェクトは大きな話題を集めた。なぜ月に行こうと思ったのか。前澤社長が日経ビジネスの単独インタビューに応じた。
(聞き手は日経ビジネス編集長 東昌樹)
早速ですがなぜ月に行こうと思ったのでしょうか。月を1周して帰ってくる計画ですよね。

前澤:そうですね。裏側まで行きます。
昔からアドベンチャー好きで、行くのは面白いところばっかり行っているタイプなんで。天体が好きだったんですよ。僕がたぶん10歳とか11歳ぐらいのとき、70年に1回ぐらいのハレー彗星が来ました。そのときも毎晩のように双眼鏡を持って夜中ずっと空を見上げているぐらい、好きで。
そんな僕に約5年ぐらい前、宇宙に一般の人も行けるような時代になりつつあると、ある企業の方からオファーが来たんですよ。上空400kmにあるISS(国際宇宙ステーション)に約10日間滞在できるプランです。ロシアのロスコスモスの有人宇宙船「ソユーズ」というものに乗っていくと。
面白そうだけど、過去にも行った人が結構いるそうで、民間人でいうと7名。日本人は1人も行ってないのですが、それはないかなと言って1回お断りしました。そうしたら「もっとすごいのがありました」と言って持ってきたのが、お月様に行けるかもと。
「は? 着陸ということですか」「いやいや、それはさすがに難しいので、アポロ8号と同じようにくるっと裏側を回って帰ってくるという周回軌道です」「民間人、もちろん行ったことないですよね」「もちろんないです」
それなら興味があるな、ということで5年前にこのお話が始まったんですね。ロシア側にとっても月に人を送ったという経験はもちろんないわけで、スケジュールとか話がどんどん大幅に遅れだした。難しいのかな、なんて思っていた矢先にスペースXさんの方から、我々の方が早く前澤さんを月に送ることができるかもしれないという話があったんです。

向こうから話があったわけですか。
前澤:そうです。ただ、不安はありますよ。当然、スペースX社は今も当時も1人も有人飛行を成功させてないですし。ただ、彼らのスピードとかベンチャーマインドはよく僕も理解していたので、イーロン・マスクさんも同じようなタイプの人間なんだろうなと。彼とやっても面白いかなと話をどんどん詰めていったところ、本格的に実現ができそうだということで具体的に契約を進めて昨日、一昨日に至ったということです。やることは一緒で、やっぱりアポロ8と同じように行って帰ってくるだけ。6日から7日ぐらいかな。
5年前からやられていたから今回チャンスがあったということですね。
前澤:そうですね。普通の方々には僕が5年前から月へ行こうとした動きというのは、当然知られていませんけど。宇宙業界の間では、もしかしたらちょっと漏れ伝わっていたかもしれないですね。至るところのロケットローンチの場に僕がいたりとかしたので。宇宙飛行士の方々とかにも、まあ、数人ですけどお会いしていたりもしたので、何かこいつ、考えているぞと当然思われていたと思います。
「僕が月に行く理由:後編」に続く。インタビュー動画も公開しています。
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