
抜群の知名度と女性リーダーへの期待を追い風に民進党代表選を制した蓮舫氏。「しっかりと選択してもらえる政党をつくる」との意気込みと裏腹に、民進内では早くも「お家芸」と揶揄されるゴタゴタが拡大しそうな空気が漂っている。
強まる「野田カラー」
その主因が、21日に正式に決まった新執行部人事だ。特に野田佳彦前首相の幹事長への起用を巡っては、今なお党内から批判の声が相次いでいる。
蓮舫氏にとって野田氏は後見役であり、自民党の二階俊博幹事長ら与党幹部に対峙できる重みのある存在だ。台湾籍との「二重国籍問題」を巡って民進内にくすぶる不満を封じ込めるとともに、弁舌に定評がある野田氏を衆院やテレビ討論での論戦の柱に据えたい思惑もにじむ。
かつて泥臭い「ドジョウ」を自称した野田氏。今回は「蓮(ハス)の花を下で支える蓮根(レンコン)になったつもりで徹底して下支えする」と得意の「野田節」をさりげなく垣間見せた。
だが、野田氏が首相時代、民主党は社会保障と税の一体改革やTPP(環太平洋経済連携協定)への参加問題などを巡って分裂。2012年の衆院選で大敗し、下野した。
与党や経済界からは野田氏の表舞台への復帰を歓迎する声もあがるが、「戦犯」の野田氏に対する民進内の見方は厳しいものがある。
ほかの主要ポストの人事も火種となっている。代表代行の1人に名を連ねた安住淳氏は野田政権時代に財務相を務め、選挙対策の実務も担った。政調会長に就いた大串博志氏も野田政権で首相補佐官として野田氏を支えた。山井和則国会対策委員長もこれまた野田政権で同じポストを経験している。馬淵澄夫選挙対策委員長も元々は野田グループに所属していた。
こうした「野田カラー」が濃い布陣となる一方、代表選で戦った前原誠司氏の要職への起用は見送られた。また、代表選で蓮舫氏を支持した旧社会党系グループの赤松広隆元衆院副議長は常任顧問に就かず、ほかのグループでもあからさまに距離を置き始めた幹部が少なくない。
代表選で各グループから幅広い支持を取り付けて圧勝した蓮舫氏。「新世代の民進党」をうたい文句にしていたが、党内からはさっそく「手堅い布陣といえば聞こえはいいが、政権から滑り降りた2012年体制に逆戻りした感じ。刷新感がない」「党内融和への期待は吹っ飛んだ」といった不満が噴出している。
Powered by リゾーム?