社外取締役制度に関連する今後の「3つの課題」

 第一に、独立社外取締役の役割と責任に関する教育と、経営者に対する啓蒙活動だ。現在も社外取締役の役割・責務に関する理解を促進するための研修プログラムが、様々な組織によって行われるようになっている。このことはガバナンス・コードの原則通りで当然のことではあるが、このような研修を企業に求められるガバナンス制度の必須条件としていく検討も必要かもしれない。また経営者が取締役会とどのように関わり経営を進めるのか、さらに社外取締役の存在意義に関する経営的リテラシーの質をどのように上げるかの認識を深めることは、日本企業の経営の質の向上に貢献する可能性がある。

 第二に、社外取締役が組織内外の期待ギャップの板ばさみにならないようにすること。これは社外取締役が、きちんと機能するために重要であり、社外取締役が単独で回避できることではない。上記の点と密接に関連しているが、トップ経営者との関係だけでなく、取締役会のメンバーである内部役員と社外取締役との関係や、さらに役員の役割分担をどうするかも重要であろう。

 第三に、様々なバックグラウンドの複数の社外取締役を配置することだ。これは、上記のような課題に対処する上で有効な可能性がある。異なるバックグランドを持つ社外取締役の存在は、取締役会という小集団のスキル・ポートフォリオの観点から、企業が直面する様々な局面に社外と社内の両方の観点から最善の決定をすることを可能にする。また、複数名の専門性の異なる社外取締役の存在は、経営陣に対して助言・監督などの役割を果たすだけでなく、指名・報酬などの各委員会活動を通しての貢献の仕方も容易になるだろう。

 本稿は、スチュワードシップならびにコーポレート・ガバナンス・コードが導入された直後の2015年~2016年の約1年間の調査期間に明らかになった分析結果のエッセンスである。今後も経営制度や環境の変化は著しく続くことが予想できるが、その中で日本企業の取締役の役割や期待される貢献がどう変わっていくのかは、日本企業の戦略的な方向性とも関連している重要な課題である。