社外取締役の役割認識に、2つの異なる方向性

 今回の詳細な分析結果が示していることは、この内外のインターフェースとしての社外取締役の役割認識のパターンに大きく2つの方向性が存在しているという点である。一つは「組織内期待対応」志向タイプ、もう一つが「組織外圧力対応」志向タイプである。これらの方向性の存在に対し、各社外取締役はそれぞれ異なる対応もしている。

 ある社外取締役は、外部の圧力は認識しながらも、企業の内部の期待に応えなければ自分が取締役会で機能できないと割り切り、組織内期待対応の志向性を中心に役割を認識していた。特に、社外取締役を「パートタイム」の仕事と捉え、とりあえず内部の期待に応えてそれなりの貢献をしながら、企業側も社外取締役を入れていると対外的に示すことができれば、それでよしという立場である。

 一方、組織内期待にある程度応える重要性は認識しながらも、外部の期待や規範にも沿おうと模索する社外取締役も多くいた。しかし、内部役員が中心の日本企業の取締役会内で、このような組織外期待をより重視した姿勢を持つことは、容易ではない。なぜならば、社外取締役の基本的な役割遂行の基礎条件として、企業内の事情にも精通することも同時に求められ、それには社長や内部役員との協働が必要だからである。

内外の期待に同時に応える日本の社外取は、難易度の高い職務

 したがって、現在の日本企業において、組織内部と外部の期待に応えるという姿勢を併せ持つことが必要な社外取締役の仕事は、難易度の高い職務であると言えるだろう。社外取締役の志向性は下の表にように示せるが、組織外期待対応を志向できる余地は、現在、多くの日本企業ではあまりないのではないだろうか。

表1:社外取締役の内外期待・圧力への対応志向性のタイプ
志向性のタイプ 特徴
組織内期待対応 企業内(経営者や企業独自)の期待に主に対応しようとする
組織内外期待のバランス志向 企業内の期待に応える重要性を認識しながらも、社外の圧力や規範にも応えるため、その折衷点を模索する
組織外期待対応 企業外の圧力や規範に主に応えようとする

 これら2つの志向性に社外取締役がどのように折り合いをつけていくのかということは、彼らの企業統治へ優れた寄与をするための課題となる。具体的には、次のような課題が挙げられるだろう。