ゲームは、喫茶店から始まる。ストーリーは別の記事に譲るとして、喫茶店の小物1つひとつが、まるで本物がそこにあるかのような「リアリティー」を醸していた。
VRゲームは、実際のモノを見るように、顔を近づけたり、いろいろな角度から見たりすることができる。何気なく机に置いてあった陶器製のシュガーポッド。そこに自分の顔を近づけ、首を左右に振ってみると、陶器表面の光の反射も微妙に変化する。そうした細かな表現が随所でリアリティーを増していた。

教え子が登場すると、いきなり向こうから近づいてくるのだが、その顔や表情の変化は、立体感とVR特有のボケ感も手伝い、コンピューター・グラフィクス(CG)以上の存在感を放つ。昨年から1年でここまで進化するのであれば、「実写並み」のクオリティになる日もそう遠くないのではと思われた。
没入感は「小物」でも高まる
質感とは違う意味で、これまでとはひと味違ったリアリティーを感じることができたのは、PS VR向けにSIEが開発中のシューティングゲーム「Farpoint(ファーポイント)」。VR向けの新たな銃型コントローラーで謎の生命体と戦闘していくゲームで、国内では初出展となる。
試遊して分かったのは、映像だけではなく、「小物」によっても没入感は高まるということ。両手で握った銃型コントローラーを敵に向けると、連動してゲーム映像内でも銃が向く。引き金を引けば、弾が出る。通常のコントローラーのボタンを押すのとでは、没入感がこんなに変わるのかと思うほど、違った。

もちろん、同ゲーム内での映像もプレイヤーに恐怖感を与えるのに十分なクオリティ。谷底への落差が100mはあろうかと思われる崖っぷちを歩いている際は、足がすくむような思いをした。
数年かけて入念な準備をしてきただけに、圧倒的な完成度とラインナップを見せつけたPS VR。だが、「可能性」という意味では、SIE以外にも見どころがある。多くのゲームソフト会社がVR関連の展示をしており、その数は100以上。KDDIは離れた場所の友人などと会話ができるVRのアプリケーションを展示するなど、ゲーム以外への応用も多い。
中でも異彩を放っていたのが、「マンガをVRで楽しむ」という体験を提供していたゲーム大手のスクウェア・エニックスだ。
Powered by リゾーム?