市場関係者からは効果を疑問視する声も

 そして4つ目が、2016年3月期に三菱商事が資源・エネルギー事業を中心に巨額の減損損失を計上し、約1500億円の最終赤字に転落したことである。商社トップの座を伊藤忠商事に明け渡した。マイナスからの船出となった垣内社長は、非資源事業の強化を掲げるとともに、「再びトップに立って、その地位をきちっと守っていきたい」と公言している(本誌2016年5月30日号の編集長インタビューより)。

 今回、ローソンの出資比率を引き上げると、三菱商事は連結純利益ベースで多少の増益効果が見込める。垣内社長が掲げる事業経営の方針では、出資先の経営への関与に見合った利益を着実に取り込むことを重視している。

 ただ、今回の出資比率引き上げについては、投資家など株式市場関係者から、その意義について疑問を投げかける声も出ている。ある国内証券アナリストは、「事業経営を重視するという流れは分かるが、既に竹増社長も派遣し、事業の経営にも深く入り込んでいる。増益効果も少なく、いまさら約1500億円もの金額を投じて、これまでと何が変わるのか理解できない」と言う。

 一般的に小売りは、商社と組むことに対する警戒感が強い。商社が扱う商品を押し込まれるのではないかと考えがちだ。一方、商社の中にも、企業間の取引が事業の中心である商社に消費者目線が大切な小売り事業ができるのか、という見方も根強い。国内のコンビニ店舗数は5万店を超えて市場は飽和しつつあり、今後成長が鈍化するという見方もある。低迷が始まれば、加盟店オーナーから不満が噴出しかねない。

 ローソンの子会社化は、コンビニが今後直面しうる様々なリスクを三菱商事が本格的に抱え込むことを意味する。三菱商事には、全国で展開するローソン店舗を使い、地域の生産者やメーカーなどと組んで地産地消を推進し、地域の活性化を支援したい考えもあるようだ。

 コンビニ経営の前面に、商社が出ていくことが吉と出るのか。「三菱商事の総力戦」で挑むローソンのテコ入れは、新たな段階に入った。