BMWが発表した新型EVのコンセプトモデル「BMWiビジョンダイナミクス」
BMWが発表した新型EVのコンセプトモデル「BMWiビジョンダイナミクス」

 もちろん、変化を遂げているのはダイムラーだけではない。ライバルのBMWも、今回のショーに合わせてモビリティ企業への変革を進めている。

 同社は2年前、「デジタルサービス&ビジネスモデル」という名称の新組織を立ち上げた。この部門を中心に、ダイムラー同様に顧客データベースを改革。今年から「BMW ID」という名称の顧客管理システムを開始した。「我々もアマゾンやグーグルのように、ログイン情報から顧客の様々なデータを取得できるビジネスが展開可能になる」と同部門のバイスプレジデント、ディーター・メイ氏は言う。

ネット企業のような発想を組み込む

 EV開発では、小型車「ミニ」の電動モデルを2019年に投入するほか、2025年までにEVを12車種、PHVを13車種の計25車種を投入する方針。カーシェアサービスでは、「ドライブナウ」を欧米で展開。そのほか、駐車場探しを支援する「パークナウ」の展開地域も欧米から中国へと拡大する。

 「プラットフォームサービスを提供する企業としての基礎ができつつある」とBMWのモビリティ&エネルギーサービス部門のバイスプレジデントを務めるバーナード・ブラッテル氏は言う。

 VWグループも、2016年12月にカーシェアサービスを提供する新会社を発足させており、同社が中心となってグループ全体のカーシェア戦略を担う。自動運転はグループのアウディが中心となって開発を進める。間もなく自動運転の「レベル3」機能を搭載した新型A8をドイツで発売する。今回のショーでは、完全自動運転を実現するコンセプトモデル「Aicon(アイコン)」も披露した。

アウディは完全自動運転車のコンセプトモデル「Aicon(アイコン)」を展示
アウディは完全自動運転車のコンセプトモデル「Aicon(アイコン)」を展示

 「何よりもスピードが大切。新技術を他社に先行して市場に投入することで、経験値を積み、次の発展に活かしていく」(アウディの自動運転部門のクリスチャン・ハートマン氏)。「自社にサービスを囲い込むのではなく、パートナーと連携して提供していく」(BMWの自動運転部門バイスプレジデントのエルマ・フリッケンスタイン氏)。モビリティ企業への転身を進める3社の取材を続けていると、ネット企業の担当者に話を聞いているような錯覚に陥ることがある。

 もちろん、伝統的な自動車メーカーからの意識転換は決して容易な作業ではない。「サービスを開発する我々の時間軸は数週間単位。しかし、それを搭載する自動車開発は今も2年以上のタイムスパン。こうした意識のギャップをどう埋めていくかが最大のチャレンジ」とBMWのメイ氏は言う。

 ディーゼル不正問題は、いまだに収束しておらず、今後も独自動車メーカー各社にとっては大きな課題として残るのは間違いない。しかし、戦略の方向性を定めたら、トップダウンでやり遂げるのが、ドイツ流だ。ディーゼル問題という自らの失策を乗り越え、プラットフォームサービスという次の舞台での勝負に賭けている。

 着実にモビリティ企業へと転換を進めているドイツ勢。日本の自動車メーカーはどう対応するだろうか。