ダイムラーの記者発表会の様子。完全自動運転車「スマート ビジョンEQフォーツー」によるカーシェアリングサービスの様子は11:15頃から見ることができる

 12日、ダイムラーは報道関係者向けのイベントで、小型車「スマート」の完全自動運転を実現するコンセプトEV「ビジョンEQフォーツー」を活用し、未来のモビリティの世界を披露した。

 披露したのは、完全自動運転車を使ったカーシェアの未来。ベースとなるのは、ダイムラーが現在欧米で提供中のカーシェアサービス「car2go(カーツーゴー)」だ。

自宅まで迎えに来る完全自動運転車

 利用者がスマートフォン(スマホ)のアプリで配車をリクエストすると、無人のスマートが自宅まで迎えに来る。スマホで事前に設定しておくと、スマートの車体の色や、車内で聞く音楽などの設定を利用者の好みにパーソナライズできる。

ダイムラーが発表した完全自動運転のコンセプト車「スマート ビジョンEQフォーツー」
ダイムラーが発表した完全自動運転のコンセプト車「スマート ビジョンEQフォーツー」

 乗車中も、スマートは周辺からの配車リクエストを受け付けている。同じ方面に向かいたい別の利用者を発見した場合は、同乗させるかどうか尋ねてくる。スマホには同乗させた場合の目的地までの追加の所要時間や料金が(割り勘によって)どの程度安くなるかなどの情報が示される。同乗を承諾した場合には、スマートがスマホの情報などを解析し、互いの共通の話題などを提案する。車内にはパーティションがあり、まったく会話を交わさなくてもいい。

 利用者を目的にまで運ぶと、料金はスマートフォン経由で決済される。車に充電が必要になった場合には、最寄りの充電所まで自動的に移動する。深夜など、人を乗せない時間がある場合、荷物などの配送にも利用できる。

 1台当たりの稼働率を現在のカーシェアリングサービスよりも上げ、市中を走る車全体の数を抑制する。ダイムラーによれば、現在ベルリンではカーツーゴー用のクルマが1000台超配備されているが、コンセプトサービスの世界が実現されると、500台程度で現在の水準のサービスを提供できるという。

 これらはコンセプト段階のサービスだが、実際には完全自動運転車のスマートを除くと、既に大半が取り組んでいるサービスや仕組みである。例えば、2008年に開始したカーツーゴーは、欧米を中心に30都市以上に広がり、会員は260万人に達する。カーシェアサービス以外にも、スマホ向けの配車サービス「マイタクシー」などを手掛けており、プラットフォーム型のサービス提供のノウハウを蓄積している。

 さらに、2014年から「Mercedes me(メルセデスミー)」と呼ぶ顧客管理の仕組みを導入。自動車の販売からアプリまで、ダイムラーグループのサービスを利用するための顧客IDを一つに統一した。この結果、ダイムラーの顧客が、どんな車に乗り、どんなアプリを利用しているのかといった情報を一元管理できるようになった。

次ページ スーツでなく、ジーンズでプレゼン