沖縄には「アカデミー」構想

 スポーツの楽しさをシニアや障害者を含めて社会に広めることにも力を入れている。吉本は昨年11月、神戸トヨペットと提携し、「パラスポーツフェスタ」を開催した。トヨタ陸上部のパラリンピックメダリストや車椅子バスケット、ブラインドサッカー選手が参加し、子供たちがパラスポートを体験した。こうしたスポーツイベントに協賛する企業はまだイオンモール、神戸トヨペットなど少なく、単独のイベントとしては採算が取れないこともある。「協賛企業を徐々に増やし、将来はビジネスとしても成り立つように育てたい」(スポーツ事業センター長の星)。

 今、吉本社内でスポーツビジネスに関する大きなプロジェクトが進行中だ。それが「沖縄スポーツアカデミー」構想だ。米CAAと組んで世界から有能な指導者を招き、沖縄にスポーツアカデミーを設立する。選手育成はもちろん、指導者養成、トレーナーなどのスタッフ育成、スポーツビジネスに関わる人材育成などを目指す。沖縄は冬でも屋外スポーツに支障がないほど温暖で、野球、サッカーなどプロスポーツのキャンプ地になっている。県民の気質風土もスポーツ好きだ。

 東京ドーム43個分、500エーカーの敷地に天然芝の野球場4面、サッカー場16面、テニスコート55面、ゴルフ場、ラクロスコート、バスケットボールコート、400メートル陸上トラック、室内練習場などを完備する壮大な計画だ。2018年春に着工予定で、学校施設、合宿所のほか、県民が自由に使える運動施設、リハビリ施設も備える。国際的なスポーツ大会やキャンプの誘致にもつなげる。大崎は「沖縄の豊かな自然、温暖な気候は観光資源であり、スポーツ資源でもある。吉本の手で沖縄をスポーツツーリズムの中心地にしたい」と夢を語る。

 吉本は今年、創業から105年になる。100周年の時、社長の大崎は「次の100年後も吉本が輝いているためどうすればいいか。それを考えるのが僕の仕事」と語っていた。その解の1つがスポーツビジネスだ。米国のスポーツビジネスは市場規模が70兆円と言われ、自動車産業を超えたとの指摘もある、一方で日本の市場規模はまだ5兆円程度と発展途上だ。吉本という意外な担い手が本格的に働き出すことで、日本のスポーツビジネスの将来への期待が高まってきた。