セカンドキャリア支援も

吉本に所属する岡崎朋美と元Jリーガー永島昭浩

 吉本のスポーツビジネスにおける柱の1つが、選手引退後のセカンドキャリア支援だ。有名選手でも現役引退後は仕事が減り、収入が激減することが多い。監督、コーチなど指導者として第2の人生をスタートできれば幸福だが、現実は狭き門だ。慣れない飲食業に手を出して失敗する例も後を絶たない。「スポーツ選手は引退後の人生の方がはるかに長いのに、それを支援する体制がない。吉本がその役割を担いたい」(吉本興業社長の大崎洋)。

 日米のプロ野球で活躍した斎藤隆は今、米サンディエゴ・パドレスでGM修行中だ。現役を引退した時、吉本は斎藤に「セカンドキャリアを全面支援する。何をやってもかまわない」と伝えた。コーチや監督など指導者の道、評論家などマスコミ関係、野球以外のビジネスなど様々な選択肢がある中、斎藤が選んだのがGM,すなわち球団経営者という道だった。斎藤は「僕の選択が、若い選手にとって1つの将来の道になれば嬉しい」と語る。 スピードスケート長野五輪銅メダルの岡崎朋美も、セカンドキャリアを充実させるため、吉本と契約した。岡崎は引退後、富士急行で次長職にあったが、子育ても一段落したタイミングで、「スケートの枠を超えて、いろいろなことをやってみたくなった」。講演活動やメディア出演のほか、岡崎が力を入れるのが、子供向けのスポーツイベント活動だ。

 吉本は子供を対象にした様々なスポーツイベントを手掛けている。こうしたイベントに現役選手とともに、元選手も送り込む。2016年から始めた「ふれあい運動会」は沖縄から北海道まですでに10回近く開いている。岡崎のほか、著名な元選手が子供たちと綱引き、玉入れ、リレーなどを通じて交流する。子供はアスリートの運動能力の高さを目の当たりにし、スポーツへの憧れを強めていく。日本陸上競技連盟と進めている「笑って!走って!全国横断かけっこツアー」、全国の小学校で体育の課外授業する「よしスポ学園」なども開催している。こうした子供向けスポーツイベントには、必ず吉本のお笑い芸人も参加する。司会進行や競技にお笑い芸人が絡むことで、場の雰囲気が盛り上がり、子供たちも楽しめる。スポーツ選手とお笑い芸人がコラボできるのも、吉本ならではの強みだ。

 もう1つ、選手のセカンドキャリア支援で、吉本が進めているのが「ふるさとアスリート(FA)」制度だ。全国的には無名でも、その地方に行けば超有名な元選手は多い。こうした人材130人ほどがFAメンバーとして吉本に登録し、地域のイベントなどに参加して盛り上げている。