アイスホッケーはチームごとマネジメント

 吉本が進めるスポーツビジネスの中心となるアスリートの支援ビジネスは大きく2つに分かれる。マネジメント業務とエージェント業務だ。前者はメディアへの露出、イベント活動、肖像権ビジネスなどを手掛ける。いわば選手の活動支援全般だ。スポンサー探しや日々の活動のサポートもある。6000人の芸人を抱え、日々マネジメントを手掛ける吉本にとって、そのノウハウはスポーツでも応用できる。同じような発想から、芸能プロダクションのアミューズやホリプロなども、スポーツ選手のマネジメント業務に進出している。

 一方、もうひとつのエージェント業務は、日本でまだ浸透していない。この分野に詳しい弁護士の水戸重之は「CAA、オクタゴン・ワールドワイドなど米国の有力なスポーツビジネスの担い手は、この2つの分野を一体で手掛けている。吉本は野球とバスケでは有力エージェントとのパイプがあり、徐々に実績をあげているが、例えばサッカーなどはこれから」と指摘する。

 日本におけるサッカーのエージェント業務では、ジャパン・スポーツ・プロモーションが先行している。今後、海外に移籍しそうな有力なJリーガーは、すでに囲い込まれている。そこで吉本は、まだエージェントがついていない若い選手に照準を合わせている。その代表格がガンバ大阪の初瀬亮だ。20歳と若いが、今年8月の20歳以下ワールドカップのメンバーで、いずれはフル代表入りと言われる逸材だ。吉本は初瀬のような3~5年後に海外移籍するような有望な若手選手とエージェント契約を進める方針だ。選手発掘のため、大学サッカーの強豪、びわこ成蹊スポーツ大、流通経済大のスポンサーになっているほか、有力指導者とのパイプ作りにも積極的だ。

 野球、バスケ、サッカー以外でも、表のようにゴルフ、陸上、体操、競泳などの著名選手が吉本とマネジメントやエージェントの契約をしている。スポンサー獲得、メディアへの出演、イベントへの参加など選手たちの価値を少しでも高めることが目的だ。

 チームを丸ごとマネジメントする例もある。アイスホッケーの栃木日光アイスバックスだ。シニアディレクターを務めるセルジオ越後の要請を受けて、チーム全体のマネジメントを担当している。セルジオ越後は日本でスポーツビジネスが広がらないのは、企業活動の域を出ないからと指摘する。プロ野球も都市対抗野球も企業の広報活動という点で大きな差はなく、ビジネスとして育てるなら独立性、地域性が不可欠とみている。セルジオ越後は「人を集めて,楽しませて、つなぐ。ここにビジネスが生まれる。吉本はお笑いでこれを実現している。スポーツでも同じことができる」と考え、吉本に秋波を送った