ヒラリー・クリントン氏は、9月11日に開かれた同時テロ式典で途中退席。健康不安説が再燃した。(AP/アフロ)

 米大統領選まで2カ月を切る中で、ワシントンを震撼させる爆弾が投下された。民主党の大統領候補、ヒラリー・クリントン氏の健康不安である。

 9月11日、米同時多発テロの追悼式に参加した際に体調を崩し、途中退席した。映像を見ると、車に乗り込む際にふらついている姿が確認できる。診察した医師によれば、クリントン氏は9日に肺炎の診断を受けており、追悼式の最中に脱水症状を起こしたという。

 その後、しばらくして回復していたようだが、今年69歳になるクリントン氏の健康不安説が改めてクローズアップされた格好だ。「今回の肺炎で、片隅にしかなかったクリントン氏の健康問題が大統領選の中心に移った」と、政治リスク専門のコンサルティング会社、ユーラシア・グループのジョン・リーバー米国ディレクターは指摘する。

「泣きっ面に蜂」のクリントン氏

 このタイミングで健康不安説が浮上したのは、選挙戦における逆風を感じていたクリントン陣営にとっては痛恨だ。

 民主党と共和党が党大会を終えた8月上旬、米兵遺族を攻撃したトランプ氏の自滅もあり、クリントン氏は8%ポイント近いリードをつけていた(米政治情報サイト、リアル・クリア・ポリティクス=RCP=の集計値)。そのまま快走を続けると思われたが、両者の差は徐々に縮小、9月12日時点で3%まで接近している。大統領選に出馬している「リバタリアン党」のゲーリー・ジョンソン氏、「緑の党」のジル・スタイン氏も含めれば、その差はさらに縮まる。

 クリントン氏の有利が指摘されていた州での苦戦も目立ち始めた。

 NBCテレビ、ウォールストリート・ジャーナル、世論調査機関マリスト・ポールによる最新の世論調査によれば、民主党が強いネバダ州やニューハンプシャー州でクリントン氏とトランプ氏の差は1%ポイントまで縮小した。激戦州として知られるフロリダ州も、RCPの集計値では0.1%とわずかだがトランプ氏にリードを許している。もちろん、オハイオ州やコロラド州などの重要州ではリードを保っているが、徐々に接戦傾向は強まっている。