社外取締役として反省もしている

 安達氏は、“行き過ぎた”原田改革の路線を修正していく方針だが、2015年6月までは安達氏も社外取締役として、原田氏の経営を監視する立場にあった。なぜ当初、原田氏が描いた改革の方向性に安達氏も同意してしまったのか。

 「原田さんは大変強いリーダーシップの持ち主で、これをやり切るんだという話があったし、方向性については間違っていないだろうということで承認していた。ただし、もう少し議論があってもよかったとの反省はある。改革の進め方のスピードや、現場とのコミュニケーションのやり方など、試行錯誤をしながら周囲の意見を聞いて修正していくことが十分ではなかったという面はあった」

 今後、安達氏は副会長に就任する福原氏、副社長で事業会社のベネッセコーポレーション社長を務める小林仁氏との「トロイカ体制」(安達氏)で、グループの経営をしていくという。

進研ゼミの現場の疲弊、経営の責任

 「進研ゼミの現場は疲弊している。あっちに行け、こっちに行けと経営陣から言われ、モチベーションが低下し、人材が流出してしまったことも否めない。現場は、経営陣から与えられた仕事を、懸命にやってきた。現在の危機を招いているのは、経営の問題。まずは動揺を落ち着かせ、顧客が何を求めているかをもう一回、現場が考え直せる体制にし、教材の中身の質を上げていきたい。そうしないと、お客は戻ってこない」(安達氏)。

 創業家2代目で最高顧問の福武総一郎氏は、2014年の原田氏の社長就任の際、デジタル化や顧客ニーズの多様化に合わせて事業構造を転換できるかどうかについて、原田氏の招聘は「ギリギリのタイミングだった」との見方を示していた。あれから2年。顧客情報の流出で、進研ゼミの会員数の減少は想定を超える速さで進んでしまった。

 安達氏は、「今年4月の国内会員数243万人をボトムに、来年はこれに近い水準で踏みとどまり、そこから回復させていきたい。243万人規模の会員数でも赤字にならないよう、止血をする」と話す。ピーク時の400万人規模への回復は困難だが、270万~300万人程度へと今後2~3年かけて回復していきたい考えだという。