方向性は正しかったが、手法に疑問

 原田氏の退任後、安達氏を委員長とする経営戦略委員会は、原田改革の成果と影響を検証した。そもそも、進研ゼミの国内会員数の減少は原田氏の社長就任以前から始まっていたが、これほどの厳しい状況に陥っている原因は何かを探るためだ。顧客情報流出のインパクトはどれくらいあり、原田改革の功罪は何だったのか。

 「顧客情報の流出で従来の顧客リストを使えなくなったことは、絶対的に大きな要素であるのは間違いない。しかし、本来、回復するはずの業績が落ち続けているという事実からは、改革の方向性は正しかったとしても、あのままやり続けて回復していたのかというと、それは疑問だと言わざるを得ない」

 こう語る安達氏が高く評価している原田氏の功績は、デジタル化の推進だ。安達氏は、「原田氏は、これまでのベネッセの経営者ができなかったデジタル対応を、一気に進めた。(デジタルという)川を飛び越えたのは、間違いなくプラスであり、それは評価すべきだ」と話す。ただし、その一方で、「やり方がそのままでよかったかと言うと、私はそうは思わない。原田さんも、それをご自身で感じられたから、退任されたのでしょう」と付け加えた。

急速なデジタル化で「紙」が弱くなった

 デジタル化については、専用タブレットを使った教材に加えて、iPadを使った教材も加わったことで、顧客は「紙」「専用タブレット」「iPad」の3つから、何を選んでよいか分かりにくくなった。安達氏は、来年にも選択肢をシンプルに変えるという。

 さらに、デジタル化を急ぎ過ぎたことで、本来のベネッセの強みが失われたとも言う。「根っこにある『紙』の教材が弱くなってしまった。やるべき改革の本当の答えは、過去のベネッセの強みと、原田さんが推進したデジタル化の間の、どこか真ん中にある。それを見つけ出せれば、復活できる」(安達氏)。

 また、原田氏がデジタル化とともに推進したベネッセタウン構想については、「コストとメリットのバランスが悪かった。ただし、地域戦略は大切で、違うやり方で進めることを考えている」(安達氏)。