9月1日、サークルKサンクスとの統合で始動した新生ファミリーマート。沢田貴司・新社長が日経ビジネスのインタビューに応じ「お客や加盟店オーナーのためなら、バカでも何でもやる」と意気込みを語った。

 沢田氏は伊藤忠商事出身。小売り事業に携わりたくて伊藤忠を飛び出し、入社したファーストリテイリングでは柳井正・会長兼社長の下で副社長を務め、ユニクロ急成長のけん引役になった。自ら立ち上げた企業支援会社のリヴァンプでは、米ドーナツチェーンの「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の日本進出などを手がけた。

 今年2月にファミマ社長への就任が発表されて以来、どちらかというとクールで慎重な印象を醸し出してきた沢田氏。就任から約1週間。ようやく持ち前の「沢田節」を解禁した。

(聞き手:藤村 広平)

今年3月に助走期間としてファミリーマート顧問に就任してから、コンビニ店舗のスタッフ研修を受けたそうですね。

沢田社長:レジ打ち、清掃作業、商品の発注から品出しまで何でもやりました。いかに自分が無能かって思い知らされましたよ。

何が難しいんですか?

沢田社長:全部。

沢田貴司 氏 1981年上智大学理工学部卒、伊藤忠商事入社。1997年ファーストリテイリング入社、98年副社長。2003年投資ファンド「キアコン」設立。05年企業支援会社「リヴァンプ」設立。16年3月ファミリーマート顧問、9月社長就任。トライアスロンが趣味で、サークルKサンクスとの統合3日前にも千葉県の大会に出場した。59歳(写真:的野 弘路)

コンビニの仕事って、覚えることが多そうです。

沢田社長:多い。すごく多い。レジに立つのは怖かったですね。Tポイントカードが使える商品と使えない商品があったり、支払いでいきなり「この商品券をつかってくれ」と言われたり。その瞬間瞬間で、ぴっぴっぴっと頭を切り替えなくちゃならない。このビルにもファミリーマートの店舗がありますけど、お昼どきにレジに入っているスタッフさんってホント半端じゃないことをやってます。

戦争みたいですよね。

沢田社長:本当にすごいと思う。

店舗スタッフにやりがいを

ファミリーマートだけではなく、サークルKサンクスの店舗でも店員として働いたとか。何か違いはありましたか。

沢田社長:半日だけでしたが、働きました。コンビニなので基本動作は同じだけれど、レジのシステムなどがやっぱり違います。(サークルKサンクスのレジの機能で)いいなあって思って、早速ファミマでも導入するように指示したものもあります。

例えばどんなものでしょう?

沢田社長:タバコやお酒を買うとき、年齢確認が必要になりますよね。明らかに20歳を超えているお客さんならいいけれど、なかには見た目だけではわかりにくいお客さんもいるじゃないですか。ときには店員としても言い出しにくい場合がある。サークルKサンクスのレジは年齢確認が必要な商品(のバーコード)をスキャンすると「身分証明書を提示してください」って機械が言ってくれるんですよ。

今年7月、都内のファミリーマート店舗でスタッフ研修を受ける沢田社長。「レジに立つのは怖かった」

 これはコンビニに限ったことではありませんが、人手不足って社会的にも大きな問題になっているでしょう。ファミリーマートで店舗スタッフとして働くみなさんに、いかに楽しんでもらって、やりがいを感じてもらえるかを考えていきたい。そのためには業務負担を減らし、ストレスをかけない工夫が必要です。現場研修で強く感じました。