
北朝鮮の挑発が、ミサイル発射、核実験と先鋭化する中、国連安全保障理事会では新たな追加制裁の決議案に焦点が当たっている。ポイントは「石油の禁輸」という強力な措置で、予想通り中国とロシアの反対で難航している。
石油の禁輸は経済制裁の中でも最後の究極の手段と言われている。国民生活など人道上の問題も生じかねないからだ。おそらく中露もそれを盾に反対するだろう。また人道上の供給は例外にして、抜け穴を作ろうとすることも予想される。
いずれにしても、中露とは今後の朝鮮半島への影響力を巡っての駆け引きが展開される。
これに関連して、先日あるテレビ番組で、「経済制裁も石油の禁輸ばかり議論されているが、核、ミサイルの部品などに焦点を当てて規制すべきだ」とのコメンテーターの発言があった。北朝鮮のミサイルにウクライナかロシアから流出したとみられるエンジンが使われていると報じられたからだろう。一見もっともらしい議論だが、どうも経済制裁のことを十分調べずに発言しているようで、そういう場面がメディアでしばしば見られることに驚かされる。
まず、これまでの大きな流れを見てみよう。
北朝鮮への経済制裁は2006年の第一回核実験に対する国連決議に始まった。実に10年以上の歴史がある。日本独自の措置はさらに1998年にまでさかのぼる。
国連決議では、まず北朝鮮のミサイル、核開発計画への関連物資の輸出の防止が決議された。その後、北朝鮮の相次ぐミサイル発射、核実験に伴って、経済制裁の内容を強化、拡大していった。対象をミサイル、核に限らず、すべての武器に広げ、着実に実施されるように貨物検査も行うことになった。
同時に、開発計画に関連する個人・団体の資産も凍結され、カネの流れやヒトの入国へと次第に対象を広げていった。そして近年では経済制裁の目的も拡大して、開発のための資金調達の道を断つべく、外貨獲得源になっている石炭の輸入停止という流れをたどっているのだ。
そうした流れをたどった上で、今回、最後の手段である石油の禁輸の議論が出てきている。
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