先端技術に貪欲なサムスン

 そんなアップルと真逆の動きをしているのが、スマホ世界最大手のサムスンと言える。サムスンの開発姿勢に目を向けると、市場ニーズはさておき、貪欲に新しい技術を取り入れる「プロダクト・アウト」の精神が根強く残っている。特に、「iPhoneにはない技術をとにかく採用していくとの思いが強い」(サムスン電子で携帯事業を手掛けていた元社員)という。

 他社に先駆け採用した有機ELパネル、無線充電への対応や虹彩認証の導入、防水防塵、世界初のイメージセンサーの採用など、サムスンのスマホには毎回最先端の技術が惜しみなくつぎ込まれている。

 しかし、サムスンのこの過度な先進思考によって発生してしまったとも言えるのが、今年8月に発売した「ギャラクシーノート7」の電池出火事故だ。消費者から充電時に出火(一部報道では爆発)したなどの連絡を受け調査したところ、一部の電池に異常が判明。今月2日、販売済みのほぼ全量にあたる250万台を回収すると発表した。

 「大画面で競合するiPhone7 Plusの発売前になんとか市場に出そうと現場は焦っていた。生産計画に無理があったからではないか」。部品メーカー関係者は今回の事故発生の原因をこう分析している。

王者2社の焦り

もはや新型アップルを求めてアップルショップの前に行列ができることもなくなるのか…(写真は中国上海のアップルショップ=今年8月)
もはや新型アップルを求めてアップルショップの前に行列ができることもなくなるのか…(写真は中国上海のアップルショップ=今年8月)

 消費者志向に走るアップルと、先端技術を突き詰めるサムスン。どちらの製品が支持されるのかを決めるのは消費者であり、ここで容易に優劣を断ずることはできない。

 しかし、今回のiPhone7とギャラクシーノートの品質事故は、スマホ王者2社の戦略の違いと、スマホ市場停滞による両社の焦りが色濃く反映されるものとなった。