NHKに頼まれた「記者会見」

 ここまで、前川氏は各メディアの取材に協力をしていたものの、各紙の紙面に名前が踊ることはなかった。唐突に名前が踊ったのは5月22日の読売新聞朝刊。「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」と題された記事は、こう書き出している。

 「文部科学省による再就職あっせん問題で引責辞任した同省の前川喜平・前次官(62)が在職中、売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった。教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ」

 前川氏はその3日後の5月25日、都内で記者会見を開き、「行ったのは事実」と認めた上で、「女性の貧困を扱う報道番組を見て、(出会い系バーに通う女性の)話を聞いてみたくなった」「実地調査の意味もあり、行政上、役に立った」などと話した。

なぜ、歌舞伎町のその店舗に行ったのでしょうか。

前川:テレビ番組で見た時に、関心を持ちました。番組で紹介されたお店があの店だったかどうかは定かではありません。だけど、ここかなと思い入ってみたら、こんな感じだったかなと。歌舞伎町を正面から入って目に付くところにある、分かりやすい場所です。

 実地調査というのはあまり適切な言葉ではなかったと思っています。でも、私の知らない世界をいろいろと知ることができる、様々な事情を抱えた女性のリアルな話が聞ける、という点で、非常に興味を持ちました。

キャバクラやクラブではなく、出会い系バーだった理由は?

前川:私はキャバクラやクラブというのはあまり関心がなくて、要はすべてコマーシャルなものですよね。女の子が付いてその子が何か身の上話をしたとしても、結局それは商売ですよね。最後にはメールアドレスを教えてと言われ、教えた途端に毎週のように営業のメールが来るとかね。私も行ったことがないとは言いませんが、興味は持てません。

出会い系バーへの入店自体が批判の的となりました。会見翌日の26日には、菅官房長官が「常識的に言って、教育行政の最高の責任者がそうした店に出入りして、小遣いを渡すようなことは、到底考えられない」とコメントしています。

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前川:まるで少女買春をしたみたいに言われていましたが、そんな事実は全くありませんし、この件については言い訳をするのも何かなと。法に触れるようなことをしたわけではなく、何が悪いんだと思っています。

 愉快か不愉快かと言われると、不愉快です。こういう形で人格をおとしめるというやり方は、やっぱり非常に問題があると思います。

 メディアが公人に対して、プライバシーにかかわることを根掘り葉掘りやるのはいかがなものかと思わないでもないけれど、市民目線や国民目線で指弾するのはまだ許せるというか、分かります。しかし、権力を持っている人間がそれをやるのはおかしいと思う。

 ただし、当初はこうした言い訳がしたくて記者会見を25日に開こうと決めたわけではありません。

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