前川:私へのアプローチが特に早く、一番取材していたのはNHKです。あれは、5月の大型連休前だったと思いますが、私の自宅前にNHKが待ち構えていて、私が家を出た時につかまえられ、そこで観念して、カメラの前で話しました。

 NHKの記者さんはかなり早い時期に、恐らく現役の職員から内部文書を入手していたようで、その後に朝日新聞が確認に来た時に持っていたものも、それよりももっと詳しいものも持っていたわけです。

 そこで私は、一部の文書は私が見たものと同じだと言いましたし、それから、個人名は出しませんでしたが、内閣官房の複数の人から獣医学部新設について働き掛けがあった、ということもお話ししました。

 それからしばらく時間が経って、NHKが初めて文書をちょろっとだけニュースに出したのが5月16日の夜。あれは、変なニュースでした。

 あのニュースは、加計学園の獣医学部新設に関して、文科省の大学設置審議会が審査しています。いろいろと課題があるので、とにかく実地調査をすることにしています。そんなニュースだったんです。

 これは国家戦略特区で認められたものです、というようなただし書きというか、説明が付いていたと思うんだけれど、その最後の映像に、ちらっと「9月26日」の日付入りの文科省の内部文書が映っている。

 映っているんだけれど、この文書が何であるかという説明はなくて、しかも、「官邸の最高レベルが言っている」という部分が黒塗りをされている。爆弾みたいな文書を、本当にさり気なくぱっと映したのです。

なぜ、NHKは肝心の部分を黒塗りにして出したのでしょうか。

前川:出せなかったのでしょう。上からの圧力があったのでしょう。私に接触してきた記者さんは、ものすごく悔しがっていました。それで、社会部の取材してきた人たちが、せめてこれだけは映してくれと言って、最後にちらっと映したと。自分たちは取材で先行している、という意地ですよね。それをめざとく見ていたのが朝日新聞です。

 朝日新聞も私のところに来ていました。その段階で、(NHKが持っていた)日付入りの文書そのものは持っていなかった。でも、別のサマリー版の方は持っていました。それは、私も含めて広く省内に行き渡っていたものなので、文書の真正性について本物だというふうに証言しました。それを朝日は5月17日の朝刊の紙面で出したんですね。

 そうしたら、菅(義偉)官房長官はその日の記者会見で、日付も入っていない、誰が作ったのかも分からない、怪文書みたいなものだ、というふうに仰った。そこで、朝日は恐らく猛烈に取材したのでしょう。

 NHKが持っていた9月26日の日付入りの文書を入手して、翌18日の朝刊の紙面にそれを出した。今度は日付も入っている、誰が作ったのかも書いてある。しかしそれは、すでに16日の夜にNHKが映していたものと同じものだったのです。

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