1件100億円規模で投資

カーライルの事業の現状は。

カーライル・グループの山田和広・日本代表

山田:カーライル・グループは1987年に米国で設立。世界に23の拠点を持ち、約550件の企業投資と、約890件の不動産投資の実績を持つ。運用総額は約18兆円。日本では2000年にオフィスを設立し、これまで22社に投資し運用総額は約3350億円となっている(実績はいずれも2016年6月末時点)。

日本での投資方針は。

山田:1件当たりの投資額は100億円前後としている。優れた商品や技術、サービスを持つが、人材やネットワークが不足し、海外展開にも後れをとる国内企業が主な投資先だ。

 規模が大きい投資案件だと事業会社が買い手として参入してくるし、数億~数十億円規模の小さい案件でも日本の独立系のファンドが多く入ってきて競争が厳しい。その中で100億円前後はそれほど競争が激しくないことに注目した。

 カーライル・ジャパンの従業員は全員日本人で、海外勤務や留学の経験もあるメンバーで構成する。これまでの投資先22件のうち18件は相対で、企業に直接連絡を取り、話をまとめていった。

投資先にはどのように関与しますか。

山田:人やモノ、カネなど投資先に足りない要素を見定めて加えていく。中堅企業は意外と明確な戦略を持たず、今までの事業の延長で伸びてきた企業が多い。そこに方向付けをする役割を当社が担う。

 投資先が上場企業の場合、いったんは非上場化することが多い。当社は投資し、経営改革を終えるまで3~5年はかかる。その期間中、一度はどうしても業績が下がる。上場したままだと他の株主の目が厳しくなり、大きな改革を進めにくくなるからだ。例えば2011年に投資した医療事務受託大手の日本医療事務センターは、2012年に上場を廃止。社名をソラストに変更し、経営の立て直しを進めた。改革のメドがついたことで、今年6月に再上場した。

最近は創業者や創業家からの事業承継も課題です。

山田:確かに現在は、創業家一族の中で事業が承継され続けていた時代から変わってきた。企業によっては、経営に関わる創業家がいない。経営を継がず、保有株を手放して現金に換えたいという意向の創業家も多い。その中で、どのような人材に次の経営を託せば良いのかと、当社にサポートを依頼する例が増えている。

富岡:当社が投資しても企業の独立性は変わらない。独立性を保ちながら、かつ永続して事業ができる経営体制を築いていく。