化石燃料と競争できる価格にできるか

 課題はコストだ。

 今のところユーグレナはバイオ燃料のコストを示していないが、従来の化石燃料に比べて割高だと見られている。

 ただ、昨年末に地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択され、今後はCO2排出に制約がかかる可能性が高い。CO2排出量の多い化石燃料のコストが増す中で、バイオ燃料のコストダウンを進め、出雲社長は「既存の化石燃料由来の燃料と競争力のある価格を目指す」と意気込む。

 ちなみにミドリムシは日射量が多いほど、光合成が活発になり、生産量が多くなる。そのため、初めての工場は赤道に近い石垣島を選んだ。

 一見すると三重県は石垣島より日照量が少なく、生産効率が落ちるように見えるが、発電所から大量のCO2やエネルギーを得られるので、必ずも不利ではないようだ。

「成功するまで帰ってくるな」

 とはいえ、このプロジェクトは実証と位置付けられている。実験室では高濃度のCO2を使ってミドリムシの大量培養に成功しているが、巨大なプールでの成功の確約がある訳ではない。

 「多気町は石垣島に続き、第2の故郷になる。担当者には『成功するまで帰ってくるな』と言っている」と、出雲社長は覚悟を語る。

 プロジェクトが成功すれば、日本はCO2排出量の削減と、CO2排出量ゼロの燃料という画期的な技術とビジネスモデルを手にする。

ユーグレナが石垣島で開設するカフェ。石垣島で理科の実験教室を開催したり、バスケットボール大会を主催するなど生産地への貢献に力を入れている
ユーグレナが石垣島で開設するカフェ。石垣島で理科の実験教室を開催したり、バスケットボール大会を主催するなど生産地への貢献に力を入れている