それまでも中国との縁がまったくなかったわけではありません。三洋時代に低価格の製品は中国の工場に生産を委託していました。広東省の省都、広州市から北に20~30kmほどのところでしょうか。三洋に勤めていた時は何度も来ていました。でも三洋をやめて縁は切れてしまいました。

 シャオミではその頃、炊飯器を作る計画が立ち上がっており、製造委託先として私が三洋時代に付き合いがあった広東省の工場を選んでいたそうです。そんな縁もあり、シャオミから日本人を探しているという話があった際に私の名前が出てきたようです。

それで連絡が来たのですね。最初は電話でしたか、それともメールでしたか。

内藤:まず電話だったと思います。ただ「詳しくはメールで」という話でした。その後、何度かやりとりをして、(シャオミの子会社で炊飯器の開発を手がける)純米電子科技の楊華会長と会いました。まず日本で会い、私が純米の本社がある上海にも行きました。

 三洋時代から数えると中国の技術者との付き合いは20年ほどになります。これまで付き合いから私が感じてきたのは、中国の技術者は皆とても優秀だということです。にもかかわらず出てくる製品は安物ばかりでつまらない。これは私の中にある長年の疑問でした。

中国の製品がつまらないのは経営の問題

技術を生かしてブランドを育てるよりも、手っ取り早くお金を稼ごうという会社が今も中国にはたくさんあると思います。

内藤:私も経営の問題だと思っています。実は昔の三洋も安いものをたくさん売ろうという考えでした。ところが楊さんと話をしてみて、この会社は少し違うと感じたのです。良いものを作り、ユーザーの信用を得て、ブランドを構築していくという考えでした。

 こうした理念を聞き、この会社は中国の製造業を変える会社かもしれないと感じました。そして、この会社が世界を変える様子を見てみたいと思ったのです。これが、私が中国に来た大きな理由でしょうか。

 最終的に純米で働くという決断をして、開発拠点があるここ広東省仏山市に来ました。それが2015年初めのことです。広州市からほど近いとはいえ、この周辺に日本人はあまりいません。店などに行っても広東語しか通じないことも多く、最初は苦労しました。

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