独BMWが、試作中の自動運転車を日経ビジネスにのみ世界で初めて公開した。今年1月から公道での試験を開始したが、これまでドイツメディアにさえ公開しておらず、その「実力」はベールに包まれていた。

 ミュンヘン中心部のBMW本社から北に約10kmの位置にある「BMWリサーチ&テクノロジーハウス」。自動運転開発部隊の多くが所属する同社の研究開発の心臓部である。8月上旬、この開発拠点の一角に、そのプロトタイプは止まっていた。

 海外の自動車メーカーが試作中のクルマによく付ける愛称はまだなく、エンジニアの中で「PT1」と呼ばれる車両だ。ボンネット内部とトランク内部を除く部分の写真撮影を許された。

BMWのプロトタイプの外観。同社の開発拠点にて撮影
BMWのプロトタイプの外観。同社の開発拠点にて撮影
外観(前方から)
外観(前方から)
外観(後方から)。ナンバープレートの下にはめ込まれた「LIDAR」が見える
外観(後方から)。ナンバープレートの下にはめ込まれた「LIDAR」が見える

 ベース車両はBMW3シリーズ。センサーは、長距離レーダーが3つ、短距離レーダーが4つ。加えて、「LIDAR」と呼ばれるレーザースキャナーが、前方、後方、側方2つの計4つ搭載されている。

 カメラは前方だけに、メーンカメラと道路標識を見るサブカメラの2つだ。いずれも単眼カメラである。カメラの数と組み合わせは試験中で、どのような仕様になるかは未定だ。

 「申し訳ないが、まだ社内のプロドライバーしか運転を許していない」。広報担当者にそう言われ、早速カメラを準備して助手席に乗車した。

後部座席から見たプロトタイプの内観。運転席のメーターが可変表示のディスプレーに置き換わっている
後部座席から見たプロトタイプの内観。運転席のメーターが可変表示のディスプレーに置き換わっている

次ページ 「手放し」より進んだ「目離し」