若年者の数は減る一方だが、他方で、今後の働き方改革に対応して大学や大学院で学びたい社会人学生は、むしろ増える傾向にある。退社後に通学する社会人学生にとっては、都心部の大学の立地がカギとなる。また、親ではなく自分で学費を負担する社会人学生にとって、授業内容への注文も多く大学の質向上にもプラスとなる。

 

 さらに増え続ける定年退職後のシニア層も、純粋に楽しむための教育サービスの利用者である。この「リカレント教育」は、改造安倍内閣の「人づくり革命」でも重要課題とされており、東京23区での新しい大学教育への潜在的な需要は大きい。

 大学もサービス産業であり、需要のある所で供給が増えるのが基本的な原則である。地方の大学が定員割れするから23区の大学の定員を抑制するというのは、保護主義の典型的な論理である。むしろ地方の大学が切磋琢磨し、対等な競争を通じて地域に学生を取り戻す。それを行政が支援するのが市場経済国の普遍的な論理である。

 東京23区の定員抑制の文科省告示は、東京と地方の大学への二重の保護政策であり、両者の質を共に下げるだけの結果となる。こうしたアベノミクスの本来の成長戦略と矛盾した保護主義的な政策を、行政指導で実施するべきではない。