三菱自動車はなぜ燃費不正に手を染めてしまったのか。本連載ではこれまで3回にわたり、社外の識者4人(弁護士3人とトヨタ自動車OB)がまとめた「燃費不正問題に関する調査報告書」をベースに、組織に潜む闇を読み解いてきた。

 現場が出来ないと言っても耳を傾けなかった開発トップ、開発本部の実情を知ろうともせずに高い目標とコスト削減の両立を望んだ経営陣、やる気を失い不正に手を染めた現場――。そこから見えてきたのは、同じ会社の仲間であるにもかかわらず、互いを非難し、歩み寄ろうとしないささくれ立った組織の姿だ。

23項目の再発防止策は機能するか

 2016年6月17日、三菱自動車は23項目に上る「再発防止策」を発表した。「走行抵抗並びに実測場所・日時、測定条件記載を必須化」「認証部を開発本部外へ移管して分離」「データ処理の自動化システムを導入」…。その多くは当たり前のことばかりで、むしろこれらを明文化しなければならないのが、今の三菱自動車の悲しい現実だ。 不正を起こさないための仕組みやルールはもちろん必要。だが、それらを運用する人の意識が変わらなければ、どんな仕組みやルールを設置したところで元の木阿弥になる。 三菱自動車は本当に生まれ変われるのか。連載の最終回はそこに焦点を当てたい。

2016年8月2日の記者会見に登場した(左から)益子修会長と山下光彦副社長

 2016年8月2日、特別調査委員会から報告書の提出を受け、三菱自動車の益子修会長と山下光彦副社長は報道陣を集めて会見を開いた。出席した記者は、「また同じことの繰り返しになりそうだ」という失望と、「もしかしたら変われるかもしれない」という希望の両方を抱くことになった。