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今秋、これまでに積み残してきた通商問題の課題に、日本政府は一気に取り組むことになる。米国抜きTPP(TPP11)、RECEP、日米経済対話、日欧EPA……。高いハードルを乗り越えるには、外務省主導の従来型の交渉スタイルではなく、官邸主導の“TPP型”の布陣を組み、本気度を示すことが欠かせない。

日本は今秋以降、通商問題の大きなハードルに直面する(写真:ロイター/アフロ)

 この秋、通商分野がダイナミックな動きになりそうだ。具体的に挙げてみよう。

(1) 米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP11)については、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合で方向性を固めることになる。それに向けたカギとなるのが、「米国抜き」に難色を示すベトナム、マレーシアなどのメンバー国を日本が主導して説得することができるかどうかだ。TPP11の結束を維持できるかどうかは日本のリーダーシップにかかっている。

(2) 東アジア経済連携協定(RCEP)については、どこまでのレベルのものにするかを巡って、日中間の綱引きが展開されている。この秋の閣僚会合が勝負どころだ。早期妥結を望む東南アジア諸国連合(ASEAN)各国を説得して、日本が目指す非関税分野も含めた、質の高い内容に誘導していけるかどうかの正念場を迎える。

(3) 日米関係では、11月のベトナムでのAPEC首脳会合の前後にトランプ大統領が訪日する可能性が高い。そうなると、その前の10月に開かれる日米経済対話において、日米間の摩擦の種をマネージすることができるかが大事だ。米国畜産業界の不満などを背景に、2国間の自由貿易協定(FTA)を求める米国からの圧力が高まる中、これにどう対処するか。

(4) 大枠合意した日欧経済連携協定(EPA)も、紛争処理メカニズムなど課題が未解決である。これらの積み残しの難題を解決して最終合意に至ることができるか。

 これらは相互に密接に連動している。TPP11が結束できそうならば、RCEPもより質の高い内容を求めやすくなる。将来米国がTPPに戻ってくる受け皿が用意できそうならば、米国の産業界をTPPへの復帰を志向する可能性も出てこよう。日欧EPAの合意は、欧州との競争不利を避けようとする国々に対してはTPP11への誘因にもなる。

 いずれにしても日本政府は、こうした全体像を俯瞰して、この秋からの通商戦略を立てることが必要である。そのためには、日本政府としても各省バラバラ、各テーマバラバラではなく、司令塔がしっかりとした組織体制を作ることが不可欠だ。

 そういう視点で今回の内閣改造と官僚の幹部人事を評価してみたい。