
ビール大手4社の2016年1~6月期の連結決算が8月5日に出そろった。営業利益はサントリーホールディングスが前年同期比14%増の872億円、アサヒグループホールディングスが11%増の524億円となり、1~6月期としてともに過去最高を更新した。キリンホールディングスは1%増の588億円、サッポロホールディングスは営業損益が30億円の黒字(前年同期は12億円の赤字)に転換した。
キリンではリニューアルした「生茶」がヒット。ダイドードリンコと自動販売機の商品の相互供給を始めた成果などで「午後の紅茶」も伸びた。サントリーは「伊右衛門 特茶」や新商品の「ブラッドオランジーナ」、アサヒは炭酸とコーヒー飲料が伸びるなど、各社とも国内で清涼飲料の販売が好調だった。
だが主力のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)に目を転じると、各社とも不安要素を抱えている。その大きな要因は外食業界、特に居酒屋の低迷による業務用の不振だ。
際立つ業務用の不振
日本フードサービス協会によると、パブ・居酒屋の売上高はここ1年、前年割れが続き、6月も前年同月比9%減だった。店舗数が7%減った影響もあり、客数は7%減少している。また、客単価も3%下がった。節約志向で消費者の足が居酒屋から遠のいているうえ、来店時の注文も抑え気味になっている様子がうかがえる。店でオーダーされるアルコールも酎ハイなどに流れがちで、価格帯が高めのビールを筆頭に、ビール類全体の消費の伸び悩みにつながっているわけだ。
大手各社の販売数量の用途別シェアは、ビール類で業務用が約2割、家庭用が約8割。これがビールに限ると業務用が5~6割、家庭用が4~5割と、業務用の比率が一気に上がる。発泡酒や第三のビールはほぼ家庭用で、居酒屋など飲食店での消費の落ち込みが、ビールの販売減に直結するという構図だ。ビール酒造組合の用途別のビール販売動向を見ると、今年1~6月の業務用のシェアは49.3%。前年同期から1.2ポイント落ちて、家庭用(1.2ポイント上昇の50.7%)を下回った。
ビール類の販売数量をカテゴリー別に見ると、キリンは1~6月、発泡酒が前年同期比8%減、第三のビールが11%減となるなど、全ての分野で数量を落とした。ビールは主力商品の「一番搾り」で、都道府県ごとに原料や味わいを変えた商品を投入し好調だったが、それでも全体では1%減った。
アサヒはリニューアルした「クリアアサヒ」シリーズが好調で第三のビールは10%伸びたが、ビールは2%減った。ビールでアサヒは約5割、キリンは24%のシェアを持つ。飲食店でのビール需要の落ち込みが、シェアが高い2社にまず悪影響を及ぼしている。
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