
「先の国会では森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など様々な問題が指摘され、国民から大きな不信を招く結果となった。改めて深く反省し、国民の皆様におわび申し上げたい」
3日の内閣改造・自民党役員人事を受けた記者会見。安倍晋三首相は冒頭、こう陳謝し、数秒間頭を下げた。
「反省・おわび」を繰り返す首相
安倍首相は通常国会の閉幕を受けた6月19日の会見でも加計学園問題を巡って「つい強い口調で反論してしまう私の姿勢が政策論争以外の話を盛り上げてしまった」などと反省の弁を述べていた。
それから東京都議選での自民党惨敗を経て、事態は好転するどころか悪化の一途をたどった。
内閣支持率の低下が続き、窮地に立たされる中で実施した今回の人事。「最優先すべきは経済の再生だ。政権交代の時の強い使命感と高い緊張感を内閣全体として思い出し、原点にもう一度立ち返らなければならない」。会見でこう強調した安倍首相の表情は終始、険しいままだった。
逆風下での今回の内閣改造・党役員人事の特徴を端的に言えば、「守り」を重視する態勢を敷いたということだ。
内閣改造では麻生太郎副総理・財務相や菅義偉官房長官ら政権の骨格を維持しつつ、政策通や即戦力の閣僚経験者を多数起用した。これ以上閣僚の失言やスキャンダルが許されない中、安倍首相が「目新しさ」より堅実さを優先したことを如実に物語る。
自民の役員人事では、政調会長に「ポスト安倍」の有力候補の岸田文雄前外相が就任。高村正彦副総裁、二階俊博幹事長を続投させた。党の主要派閥から重鎮を起用することで党内バランスに配慮し、政権基盤の安定につなげる狙いだ。
今回の人事では、岸田氏の政調会長起用や野田聖子総務相、河野太郎外相を目玉人事と位置づける向きが多い。では、当の安倍首相はどんな思惑で人事を進めたのか。周辺に語った言葉などからは幾つかのポイントが浮かび上がる。
まずは、岸田氏への配慮だ。自民の保守本流と称される「宏池会」の派閥会長を務める岸田氏は2012年12月の第2次安倍内閣発足以来、4年半以上も外相を務めてきた。
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