大江戸温泉がREITに売却する「ホテルレオマの森」(香川県丸亀市)
大江戸温泉がREITに売却する「ホテルレオマの森」(香川県丸亀市)

宿泊客を虜にする3つの工夫

 大江戸温泉の旅館サービスの特徴は大きく3つある。

 まずは手頃な価格設定だ。時期によって変動はあるが、1泊2食付きで1人当たり7000円程度から利用できる。いずれも経営を引き継ぐ前は1泊4万~5万円はしていた施設で、「あの憧れの高級旅館に泊まれる」という驚きと感動を利用者に与えることができるという。

 手頃な宿泊価格は、全国展開によるスケールメリットや、サービスの効率化によって実現できている。宿泊時の夕食と朝食はいずれもバイキング形式。経営参画前の旅館では宿泊客1人1人に、幅広い嗜好にこたえるべく豊富なメニューで構成される食事を提供していた。だが、どうしても食べ残しが出やすく、好きなメニューを十分に食べられないという不満にもつながり、顧客満足度が高まりにくかったという。

 一方、バイキングであれば、宿泊客は好きなものを食べたいだけ食べられる。施設側は、なくなったメニューのみ補充すればよく、調理作業の効率化が図れる。唐揚げなど多くの施設で提供する共通メニューは、食材を本部で一括購入し、調達コストの低減にも成功している。

 次が豊富なエンターテインメントだ。施設では落語や演劇などのイベントを定期的に開く。専属の歌手を抱える旅館もあり、宿泊客の満足度の向上に役立っている。

 そして3つ目が、リピーターの積極的な獲得だ。大江戸温泉は会員情報をもとに、宿泊客の購買行動を分析。最近足が遠のいている顧客にはタイミングを見計らってダイレクトメールを送り、再訪を促している。

 こうした取り組みが奏功し、平日を含めた平均の客室稼働率は約8割と、採算の分かれ目とされる約5割を大幅に上回る。特に中高年の女性団体客を中心に人気で、毎月のように訪れる宿泊客も多いという。