今回の人事の2つ目のポイントは、内閣の骨格を維持し、派閥のバランスに配慮しながら安倍首相が信頼を寄せる人物を登用したのが特徴だ。

 麻生太郎副総理・財務相、菅義偉官房長官、岸田文雄外相、石原伸晃経済財政・再生相ら主要閣僚を留任させたのは、二階氏、細田氏ら自民幹部とともに派閥領袖クラスで政権を固めるとともに、アベノミクスや外交の継続性を重視したためだ。

目玉は「働き方」担当と女性閣僚

 内閣改造のたびに目玉政策を打ち出し、その担当相を設置してきた安倍首相。今回は雇用の流動化や同一労働同一賃金の実現など働き方改革を担う担当相を新設し、留任した加藤勝信一億総活躍相に兼任させた。

 稲田氏を自民政調会長から女性として2人目の防衛相に起用したのも目を引く。安倍首相と政治信条が近い稲田氏は衆院当選4回で異例の2回目の入閣だ。

 女性の活躍をアピールすると同時に、安倍首相が将来の首相候補と期待する稲田氏に経験を積ませる狙いがある。

 環境相から五輪相に丸川珠代氏を横滑りさせたのも安倍首相の戦略人事の1つだ。安倍首相は丸川氏を育てる意向を周辺に漏らしている。都知事選で丸川氏は小池氏を痛烈に批判してきたが、安倍首相周辺は「お互いに大人の対応をするはずだ」と話す。

 さっそく小池氏も連携への期待を口にしており、丸川氏と小池氏という女性リーダーが引っ張る形で東京五輪のイメージアップを図る効果を見込んでいる。

 「今後は小池氏と丸川氏、五輪組織委員会の森喜朗会長などのやり取りにマスコミの関心が向けられるのは必至。TPPなど難しい国会審議から少しでも世間の関心をそらし、国会を乗り切ろうという戦術の一環だろう」。自民のベテラン議員はこんな見方も語る。

 一方で安倍首相は8人の初入閣者を起用し、入閣待機組や派閥への配慮も示した。さらに今回、ポスト安倍をにらみ閣外に出た石破茂氏と同じ派閥に属し、安倍首相とも気脈を通じる山本有二元金融相を農相に充て、党内融和と分断工作をにじませた。