ただし、完全子会社化はゴールではない。

 オムニチャネル戦略が、どこまでセブン&アイの収益に貢献するかについては、そもそも懐疑論が多い。取り扱いの多くがセブン&アイ関連企業の商品にとどまり、ネット通販の競争力を大きく左右する品揃えの面で、アマゾンや楽天との差が大きいからだ。ニッセンとセブン&アイは本当に相乗効果を生み出せるのか。重要なのは完全子会社化の先にある事業戦略だが、現時点で答えは示されていない。

 となると、当然、ニッセンの売却も選択肢に入ってくるはずだ。セブン&アイは「予定は無い」との姿勢を崩さないものの、昨年からセブン&アイに出資する「物言う株主」、米投資ファンド、サード・ポイントは売却を求めている。まずは完全子会社化によって自由に次に一手を打てるための環境を整えたと見ることもできるだろう。

井阪氏にとってデビュー戦

 セブン&アイの井阪隆一社長は5月、コンビニを日本に根付かせた「カリスマ経営者」鈴木敏文氏の退任に伴い、セブン-イレブン・ジャパン社長からセブン&アイ・ホールディングスのトップに昇格した。商品開発を中心にコンビニ一筋のキャリアできた井阪氏にとって、今回の発表はグループ全体の手綱さばきを社内外に示すいわばデビュー戦だ。