反論③利益を出すために持分法を外したとの指摘はひどすぎる

【グラウカスの指摘③】
 中国食品・流通大手の頂新に対する非支配株主持分の区分変更に伴い認識された600億円の特別利益について、この利益が発生したタイミングと投資先の収益性低下に照らして、強い疑念を抱いている。2015年3月期の期末わずか4週間前になって、伊藤忠が奇跡的に600億円の特別利益を発見したことは、期初計画を600億円未達となることが見込まれた時期であったことを考え合わせると弊社には信じがたいことに思われる。

「これがちょっと一番ひどいと思うが、600億円の利益を埋めるために、数週間の間に持分法を外して益出しをしたという指摘は、極めてよろしくない。というのは、伊藤忠の経営方針は、アジア・中国を中心として生活消費関係を伸ばしていくこと。その中で、我々が中国でビジネスを広げていくために最初にいいパートナーだと考えたのが頂新だった」

「頂新とは2009年に包括的な提携をしようということで、株式を持った。その中で、我々の取引先であるカゴメやカルビーなどを紹介しながら、中国でビジネスを展開していった。ただ、残念ながら、頂新のビジネスに我々がトレードで関与できなかったり、彼らのビジネスが想定していたほど大きく進捗しなかったりして、この先どうやって中国を攻めていくかが、我々の大きな経営課題となった」

「その中で、2014年7月にCPグループとの業務提携を発表した。この提携は食品分野が中心で、頂新と競合する。この問題を解消しない限り、CPとの提携を進めることができない。つまり、頂新を持分法から外さない限り、CPともCITICともビジネスを大きく伸ばしていくことができない。そのため、社内ではずいぶん早い段階から、頂新を連結から外すことを前提に議論を進めてきた」

「頂新に出資した時もそうだが、上場企業を傘下に持つ頂新だから、その価値も常にKPMGに正しく評価をしてもらっている。頂新との関係解消は、CP・CITICとの提携の話の流れの中で出てきているので、数週間やそこらでできる話ではない」

「長々と申し上げたが、これくらいやらないと分かっていただけないので。これをいちいち、皆様方に説明するのかと。既に我々は決算公表もしているし、監査法人からも適正意見をもらっている。アナリストも、すべて知っていた内容だ」

「ただ、グラウカスは、『違う見方ができる』と言っている。そう言っている以上、議論することはできないでしょう。同じ事実でも、違う組み合わせ方で違う結論を導き出すことができる。しかも、その結論については、責任を取らないと言っているんですから。責任を取らない結論をベースに、我々の株価が下がることにポジションを張って、このレポートを出している。それで株価が下がったことで、彼らは利益が出ている」

「こういう対象に対して、どういう対応をすべきなのか。日本にとっても初めてのケースだ。対応を間違えば、日本のマーケットへの影響は極めて大きい。我々が事実に反すると思う指摘もあるし、日本取引所グループのCEOもおっしゃっていただいていますが、そもそも、ポジションを持ってからレポートを出すという倫理観はどうなっているのか。こうした点を考えて、対応を考えていかなければならない」

「法的対応も選択肢の1つだが、皆様の意見を参考にして決めていきたい。少なくとも、私どもには一点の曇りもない。こういう対応を許していいのかと言うのは、私どものだけの問題なのか、証券市場全体の問題なのか、日本全体の問題なのかという問題意識を、僕は持っている」

■訂正履歴
本文3ページ目で「日本の金融機関を含めた海外投資家を募る動きをとったのが2010年頃」としていましたが、正しくは「日本の金融機関を含めた海外投資家を募る動きをとったのが2014年頃」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2016/8/3 13:00]