
自民党が分裂し、野党4党が参院選に続き共闘する構図となった今回の都知事選。終わってみれば、自民党都連との対決色を鮮明にし、「組織対個人」の戦いを演出した小池百合子氏が無党派層などから幅広い支持を集め、元総務相の増田寛也氏、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏との三つ巴の対決を制した。
「劇場型」選挙を演出した小池氏
「土俵の設定で間違ったうえ、テレビのワイドショーが取り上げやすいように対立構図を作る劇場型選挙をやられてしまった」。増田氏の敗北に自民幹部はこう嘆く。
自民は今回の都知事選を巡って対応が後手に回った。「政治とカネ」の問題で辞職に追い込まれた舛添要一氏を支援した負い目から与野党相乗りも可能な「非政治家の実務家」を中心に候補者擁立を模索した。
だが、与野党が全面対決した参院選と並行したことから作業は難航した。
この間に、いち早く「崖から飛び降りる覚悟」を強調して出馬表明した小池氏を止められず、保守分裂選挙に追い込まれた。
一方の野党側も混迷の末、告示2日前に公約を示さないまま出馬を表明した鳥越氏に民進党、共産党など4党が相乗りして支援することになった。
自民、公明の与党側にしてみれば、「国や都議会との関係が良好で、とにかく4年間無事に務めあげてくれる実務家」を選択する選挙にするはずが、ガチンコの殴り合いの選挙戦を強いられる構図となったのが実情だ。
こうなると、小池氏、鳥越氏に比べ増田氏の知名度不足は大きなマイナス材料だった。中盤から組織固めを進め、追い上げを図ったものの、基本的に「既成政治の継承」の印象が強い増田氏に対し、巨大組織に1人で切り込むという「変革」イメージをアピールした小池氏の戦術が功を奏し、ほかの候補を寄せ付けなかった。
もくろみ通りの「先行逃げ切り」を果たした小池氏。「これまでにない都政、これまでに見たこともないような都政を進めていきたい」と意気込みを語るが、カギとなるのが都議会との関係だ。
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