「これからはグーグルやウーバーも競合になる。伝統的な自動車メーカーとして彼ら(IT企業)と戦うのは困難も予想されるが、十分に勝てると楽観視している」

 2016年7月27日に東京都港区の迎賓館赤坂離宮で開かれたメルセデス・ベンツの新型「Eクラス」の発表会。ベンツブランドを所有する独ダイムラーで安全運転支援システム「ドライブパイロット」の開発指揮を執るシニアマネージャーのヨアヒム・ミセル氏は、こういって自信をのぞかせた。

 この発言には2つの意味が込められている。一つは、ベンツブランドでもトラックやバス、タクシーなどの運行に使える商用向けの自動運転システムの開発を始めるということ。もう一つは、その領域で技術力が高いと言われるグーグルに勝つ開発力を持っているという自負だ。

左端がシニアマネージャーのミセル氏。右から3人目がメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長。東京港区の迎賓館で開催されたイベントは、駐日ドイツ大使館のハンス・カール・フォン・ヴェアテルン大使(左から3人目)など日独の政府関係者らも多く出席した

新型セレナを凌駕する自動運転機能

 Eクラスに搭載されているドライブパイロットは、運転支援システムとはいえ、その機能は日産自動車が8月下旬に発売する新型「セレナ」の自動運転技術「プロパイロット」を上回る。セレナでは先行車両の追従といった自動運転機能の使用を高速道路に限定しているが、Eクラスでは市街地でも使える。自動で車線変更をする機能はセレナにはないが、Eクラスにはある。

 もちろん、Eクラスの価格は675万~988万円(税込み)で、セレナの倍以上。単純に比較してはセレナの分が悪すぎるが、Eクラスの方が自動運転に近い技術を搭載していることは間違いない。「これまでベンツとしては個人のドライバー向けのシステムだけを開発してきたが、これからはオペレーター(企業が雇ったプロ)向けの開発にも着手する」(ミセル氏)